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【エッセイ】次女の逆襲の話

ついに、次女の口に、二本の歯が顔を出してきた。
口に自分の指を入れてちゅぱちゅぱさせていると、がりっと痛い感触がして、見たら白いものが見えていた。

長女のときも思ったが、なぜ必ずといっていいほど赤ちゃんの歯は下の中央から生えてくるのだろう?
(長女のときは少しイレギュラーで、下の中央2本の次は、上の八重歯が先に生えたが)

歯が生えると、いよいよ始まる。
恐れていたこの時。
そう、睡眠退行だ。

新生児期を卒業した頃から、信じられないくらいよく寝る子だった次女。
こちらが心配になって、夜中わざわざ起こして授乳をしていたくらい、夜通し寝るような子だった。
そんな次女の、逆襲が始まった。

次女はいま、睡眠に関して人生で初めての壁にぶつかっている。
歯がかゆいらしい。かゆくて、夜中に起きてしまうらしい。

残念ながらもう30数年前の記憶のない母は、歯が生えてくるとかゆくて仕方ないという感覚は覚えていない。
しかし、夜中ふとしたときにシーツを噛んだり、パジャマを噛んだりしながら右に左に転げ回り、そのうち布団から畳に落ちて目が覚める次女の様子を見ていると、きっとかなりかゆいのだと思う。

歯のない時代の、あの赤ちゃん特有の大人が真似できない声が愛しくて、歯はまだ生えないで!という気持ちと、
眠くて眠ってたまらないので一刻も早く歯が生えてほしい気持ちがせめぎ合いながら、母は複雑な心境で今日も歯がどれくらい伸びたかをチェックしている。


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