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【エッセイ】産後、着たい服が分からなくなった母の話

次女が生後5ヶ月を過ぎて、白くて美しいもちもちの二の腕に痛々しいハンコ注射を押されてしまった。

当日は、消毒液や薬剤が腕以外の場所につかないように、袖のない服で来てくださいという指示があった。
そして接種後は直射日光を当てないほうがいいので羽織も持ってきたほうがいいと。

病院に行く前に、次女の洋服ボックスからノースリーブの服と羽織を選んだ。
同じ季節に同じ性別で生まれてしまった不運か、姉のおさがりばかりが入ったボックスに申し訳なさを感じた。
せっかくだから何か買ってあげようと思って、病院の待ち時間ではずっと次女の服をスマホで探していた。

子供の服は、見ていて楽しい。
いくらでも着せたい服があって、予算と収納スペースを気にしなくていいと言われたらいくらでも買ってしまいたい。

一方で、最近私は自分の着たい服が分からなくなってしまった。
産後太りも徐々に解消してきて、産前の服も着れるようになってきたが、それらを着てもなぜかぱっとしない。
次女への授乳のことや抱っこのことを考えると着られるものが限られるということもあるが、そもそも何が着たいか分からない。
完全にファッション迷子になってしまった。

明確な理由は分からないが、ひとつ可能性としてあるのが、産前より明らかに自分の姿を見ることが少なくなった。
産休に入る前は仕事をしていたこともあり、そこそこ鏡を見る機会はあったが、次女を産んでからは朝食を食べ終えて洗濯機がとまるまでの2,3分で眉毛を書く程度の時間しか見ていない。

毎日目に穴があくほど見つめている娘たちの服はいくらでもほしいが、2,3分しか見ていない自分の服は何を買って良いのか分からないのかもしれない。

もう少し、自分のこともちゃんと見よう。愛してあげようと思った。

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