信用状取引(L/C) ③B/L危機対応や航空輸送の場合
前回の記事:
輸出者にとって安全性が高く魅力的な決済方法である信用状取引(L/C)。しかし、L/Cのルールは複雑で挫折しやすい。今回はより詳細なルールを確認していく。
B/L危機対応とL/C
B/Lとは船荷証券のこと。船積書類の中でも超重要書類に数えられる。L/Cを使った取引では買取銀行に提出する必要がある。しかし、最近ではコンテナ船の登場などによる輸送高速化が原因で新たなB/Lの仕組みが登場した。
それが、サレンダードB/L(Surrendered B/L)とSea Way-Bill(海上貨物運送状)だ。
ここで注意しなければならないのが、通常のB/Lとは異なりこれらは有価証券ではないということ。
Sea Way-BillはUCP600で定められており信用状取引が可能だが、サレンダードB/Lは原則としてL/Cを使った決済を行うことができない。
「原則」というのは、L/Cと組合せられる方法は一応存在するということ。
B/Lは有価証券なので、L/Cを発行するための担保として機能する。しかし、サレンダードB/Lは有価証券ではないので担保として機能しない。
その代わり、他の担保を用意すればL/Cを使った取引も可能とのこと。この辺、素人にはとっても難しいですね。
航空輸送とL/C
それでは、空輸の場合はどうだろうか?
空輸の場合もB/Lは使用しない。その代わり、航空貨物運送状(AWB | Air Waybill)を用いる。そしてこれも有価証券ではなく、原則L/C取引は行われない。
しかし、航空輸送でもL/Cを使う方法がある。それは、荷受人(Consignee)を開設銀行にしてしまうという方法である。
こうすることで、輸入者は銀行へ代金決済しなければ貨物を受け取れないことになる。航空輸送では海上輸送とは異なり貨物にAWBと一緒に送付するためこのような方法が可能になる。
もっとも航空便を使う場合は何らかの理由で急いでいるケースが多いので、申請に時間のかかるL/Cとは相性が良くない。そういった理由から、航空輸送とL/C取引が組み合わされるケースは少ない。
またインテグレーター(クーリエ)を使った場合、貨物は輸出者から輸入者へ直通となる。そのため、L/Cを使った取引は行えない。
参考資料
『話で覚えるL/C信用状の実務手続き』 姉崎慶三郎 著
B/L危機やサレンダードB/Lについて
インテグレーター(クーリエ)について
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