ようこそ! ちょっと風変わりで、とても短い掌編小説はいかがでしょう。
第12話 デート(その一)
今日は絶好のデート日和だ。そこで俺は、彼女を誘って近所の遊園地へ行くことにした。
ただし、これが俺たちにとって初めての遊園地デートだったため、少しはしゃぎ過ぎたみたいだ。休憩も取らず歩き回って、色んなアトラクションにチャレンジした。
ただそうなると、やはり疲れてくるもので、俺は一旦小休止したい心持ちになった。……が、彼女の方は全くその気がないようだ。
結局、俺は妥協するしかなかった。休めるならどこでもいいという思いから、こじんまりとした椅子に肩を並べて座った。
俺は、少しの間だけでも一息つく。
すると、何を思ったのか、
彼女は手提げバッグからパンを取り出して「これ、食べる?」と言ってきた。
けれど、この状態だ。俺は食べる気がしないので、「今はいいよ」と断った。
さらに続いて、
「だったらジュースでも飲む?」と今度は飲み物を進めてきた。とはいえ、当然それも受け付けられない。俺はうんざりした気持ちで「だから、今はいらないって!」と拒否した。
そしたらその直後、彼女は驚くべき行動を取った。
「あなた、意外と食が進まないのねぇ」と言ってから、あっという間にパンをかじりつつジュースを飲みほしたではないか!
えっー、何てことを! 俺はそれを見て面食らった。これまでの言動はただの冗談だと思っていたのに、本当に食べ物を口にするなんて信じられなかったのだ。……だって、俺たちは今、
ジェットコースターに乗っているのだから!
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