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ようこそ! ちょっと風変わりで、とても短い掌編小説はいかがでしょう。

第16話 散歩(その一)
https://note.com/tozoshort/n/n3ac93159b119

第17話 散歩(その二)

 ゲンさんたちは、まだ散歩を続けていた。
 と、その時、ケンちゃんが不思議な光景を目の当たりにした。

散歩5

「見て見て、ゲンさん。あの坊や、宙に浮かんでいるよ!」と興奮して言った。
 だが、ゲンさんの方は動じることもなく、
「ハハハハ、そんなおかしなことはないよ。あれは目の錯覚さ。水溜りのせいで足元に影がないから、そう見えるだけだよ」と否定した。
 どうやら、ケンちゃんの勘違いだったような。
「へえー、そうなの?」彼は不思議に思いながらも納得した。
 やはりこの現象は、十二歳のケンちゃんには少し難し過ぎたか。まだまだ経験不足のようだ。
……と言ってるそばから、さらなるヘンテコな物が目に入ってきた!

散歩6

 ケンちゃんは、訊いた。
「じゃ、あれはどうなの? 変な生き物がこっちを睨んでいるよ」と。
 しかしそれも、「あれはただの犬さ。シートを被って面白がっているだけだよ」と再びゲンさんの明快な回答が示された。
 つまり、二度までもすんなりと謎を解いたのだ。
 これには、ケンちゃんも感心した。
「そうか、なるほど。やっぱりゲンさんは物知りだねぇー。僕、ゲンさんを見直したよ」と褒めた。
 ゲンさんは鼻高々な様子だ。
「ハハハハ、そうだろう」と言った。
……だが、その後のこと。ケンちゃんはさらに輪をかけて奇妙な生物を見つけ出してしまう。
「ねえねえ、あの馬もおかしくない? なんか羽が生えているみたいだけど」と言って栗毛の馬を指差した。

散歩7

 そうすると、「そうそう、あれだって……」とまたまたゲンさんの名回答が披露された……と思いきや、あらら、今回は違ったか? 何故かその後、口篭もって、「え、え、なんだ?……いや、違うぞ……えっ、うそでしょ!?」と言った。
 そしてその直後、「た、大変だ! そうだよ、きっとそうだ!?」と大いに騒ぎ出したのだ。
――はて? いったい何が起こったのだろう?――
 この突飛な慌てようには、流石にケンちゃんも不審に思った。そこで、
「どうしたの? ゲンさん」と訊いてみると、
「どうしたのじゃないよォー。大変な物を見つけたんじゃないかー! わしはいつかUMAを目にするんじゃないかと思ってたんだが……それが今日だったとは。ケンちゃん、あれが伝説の生き物、ペガサスだよォー!?」という荒唐無稽なことを言い出したではないか!
――おやおや、どうやらおかしな方向へ話が進みだしたぞ。彼は、見かけによらずオカルトファンだったような?――
 とはいえ、そんな話をされても、ケンちゃんにはさっぱり分からなかった。それでも、ゲンさんの尋常ではない慌てぶりを見て、すごい物を発見したのではないのかという気持ちの方が先に立ち、
「やったね! 僕たち、有名人になれるね」と喜んでみせたら、ゲンさんの方は益々ヒートアップして、
「そうだよ。やった、やったんだよ。みんなに知らせに行かなくちゃー!」と手足をばたつかせて叫んだ。
 まるでロケットのように、今にも走り出しそうだ!

 一方、そんな中、同じくその近辺を有名な写真家のジョン・斎藤も、何か良い被写体はないものかと散策していた。
 するとその時だ。興味を惹かれる光景が彼を立ち止まらせた。

散歩8

「おおっと、これは面白い画だ。一枚撮っておこう」と言ってカメラのシャッターを押した。
 そして、満足いく出来栄えかどうか確かめるため、彼はデジタルカメラの液晶画面に今撮った画を映し出した。
 そうすると、そこには、

散歩9

珍しくも、

散歩10-

馬の背に乗る、

散歩11

白鳥の写真があった……


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