サルの天気予報【オリジナルえほん】

2023年9月29日 22:05

むかしむかし、とある森もりの中なかに
陽気ようきなサルと動物どうぶつたちが住すんでいました。
森もりの中なかはにぎやかで、みんな仲良なかよく暮くらしていました。
動物どうぶつたちには毎日まいにちとっておきの楽たのしみがありました。 
それは、明日あしたの天気予報てんきよほう！ 
毎日まいにち、お昼休ひるやすみになると、池いけの周まわりに集あつまって
カエルの言葉ことばを待まちわびます。

ところがある日ひ、天気予報士てんきよほうしのカエルが風邪かぜをひき、 
声こえを出だせなくなってしまいました。
仕方しかたなくカエルはお休やすみです。
困こまった動物どうぶつたちは、サルに天気予報てんきよほうをやってほしいとお願ねがいしました。
サルは自信じしんはなかったけれど、
カエルがしていたことを真似まねすれば
きっと大丈夫だいじょうぶだと挑戦ちょうせんすることにしました。

翌朝よくあさ、サルは木きの上うえから天気予報てんきよほうを始はじめました。
しかし、サルには天気予報てんきよほうの知識ちしきがありません。
風かぜの向むきや雲くもの形かたちを見みてもさっぱりです。
困こまり果はてたサルは空そらを見上みあげながら
明日あしたの天気てんきはわからないと言いおうと思おもいました。

お昼休ひるやすみに池いけの周まわりに行いくと、
たくさんの動物どうぶつたちがサルを期待きたいの目めで見みつめました。
サルは彼かれらをがっかりさせてしまうことが怖こわくなりました。
それだったら、当あてずっぽうで天気てんきを言いってしまえ！
「明日あしたは大雨おおあめが降ふるでしょう！」

次つぎの日ひ、サルの予報よほうは全まったく当あたりませんでした。
朝あさからとっても気持きもちの良よい晴はれだったのです。
きっと動物どうぶつたちはサルの天気予報てんきよほうに戸惑とまどっているでしょう。
サルは間違まちがってしまったのですから。
あぁ、なんてことを言いってしまったんだろう。
サルは落おち込こんで家いえに引ひきこもってしまいました。
お昼休ひるやすみに池いけにも行いきませんでした。

その夜よる、池いけに来こなかったサルを心配しんぱいして
森もりの動物どうぶつたちが家いえに集あつまってきました。
「天気予報てんきよほうが外はずれたことなんて大たいしたことないよ。」
みんな、サルを励はげますために笑顔えがおを見みせました。
「でも、僕ぼくのせいでみんなは…」サルはいまにも泣なきそうです。
「違ちがうんだ。きみの予報よほうが外はずれたおかげで、
　いつもと違ちがう一日いちにちが過すごせたんだ！」フクロウが言いいました。

驚おどろいたことに、サルの予報よほうが外はずれたことで
森もりの中なかでは面白おもしろい出来事できごとが次々つぎつぎと起おこっていたのです。
雨あめが降ふると思おもっていたカタツムリは、
晴はれているのに思おもい切きって外そとに出でてみました。
「晴はれた日ひに外そとに出でたから普段ふだんなら会あうことのない
　はなやかなちょうちょとお友達ともだちになれたんだよ！」

仕事熱心しごとねっしんなノネズミは、雨あめが降ふると思おもってお店みせを閉しめたことで、
久ひさしぶりに晴はれた森もりの中なかをお散歩さんぽしてリフレッシュできたのでした。
「森もりの中なかにこんなに素敵すてきなお花畑はなばたけがあるなんて知しらなかったよ。
　たまにはお散歩さんぽも大事だいじだね。」

森もりの動物どうぶつたちは、 普段ふだんとは違ちがった一日いちにちを過すごすことができたことを
口々くちぐちに感謝かんしゃしました。
「昨日きのうはごめんね。そして、みんな、ありがとう。」
サルはそういうとにっこりと笑わらいました。
サルは失敗しっぱいを受うけ入いれたのです。
みんなは、サルと一緒いっしょに踊おどったり、歌うたったりして
楽たのしい時間じかんを過すごしました。