Vol.3 ゴジラVSネッシー
最初にお断りしておくが、今から述べることは、現実に公開された映画の短評ではない。製作準備はされたが、暗礁に乗り上げた映画未満について述べようというのだ。
2020年12月19日から90分枠でオンエアされたNHK‐BSの特番『ゴジラのヒロイン』に触発されて、「もしも好みのヒーロー&ヒロインを、ゴジラ映画の中で暴れさせることができたら」という前提で綴ったものである。
ただ困ったことに、一からゴジラ映画のストーリーを考える能力は、私には備わってはいないのだな。そこで、ネッシーという新怪獣を登場させ、ゴジラと関わらせることにした。
1975年から日・東宝と英・ハマープロの合作によって、『ネッシー』という映画が準備されていたが、ハマープロ側の資金難(?)によって企画倒れに終わってにいる。それにヒントを得てのストーリーだ。
映画のラストでは「香港で攻撃され、巨大タンカーから流出した原油が燃え上がり、ネッシーは焼死する」というものだったようだが、もしもゴジラが関わっていたら、このラストはどうなっていたか?
ゴジラの熱線でネッシーは焼死したように見えたが、それは見せかけであって、巨大タンカーだけが轟沈し、ネッシーは海底に逃れた。
ネッシーは、ジェット海流の流れに乗って、海底都市に流れ着いた。その海底都市はムウ帝国の分派であり、独自の女王(演:若き日のジョアンナ・シムカス)を擁立していた。ネッシーは、海底都市から繋がっている無人島に上陸した。そこは一種の別天地で、ゴジラやモスラが見張り番をしていた。ネッシーも人類に追われる身から解放されて、やすらぎを覚えた。
ところが、この無人島は金満家のハンターたちにとっては御狩場になっていた。彼らに雇われていたアウトロー青年(演:若き日のジャン=ポール・ベルモンド)は、適当に彼らを遊ばせていたのだが。野心家のハンターが海底人と共謀して、海底都市の乗っ取りを図ったのだ……!
ダメだ。この先は続かない。それに『ゴジラ対コング(原題)』とは、どうしてもかぶりそうだ。ただ一つだけアイデアがあるとすれば、男性ヒーローには、ジャン=ポール・ベルモンドを彷彿とさせる若者をキャスティングするところだ。
『ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘』では宝田明が「金庫破り」に、『ゴジラVSモスラ』では別所哲也が「トレジャーハンター」に扮していた。
だが、いずれもジャン=ポール・ベルモンドの域には達していなかった。これは、何としてもリターンマッチを期待したいところだ。
参考:「特撮秘宝」8号。幻の映画『ネッシー』について言及されている。
付記:ゴジラ映画の新作『ゴジラVSコング』には小栗旬が助演している。主演映画での小栗旬といえば、『ルパン三世』での彼にはそれこそ、ジャン=ポール・ベルモンドの線を期待したいところだが、残念ながら程遠いものだった。今回の『ゴジラVSコング』も、役柄上しょうがないところだったが、この次こそはベルモンドの向こうを張った「怪演」を期待したいのである。
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