超短編小説『ナンセンス劇場』062

【だから何なんだ】

「さぁ、こちらに集まっていただいた５名の方々は全員が超巨漢。
その重量、合わせて６４４キロ！」

「こちらも負けていませんよ。
こちらに集まっていただいた方々は全部で１６名。
皆さん標準体重でその総重量なんと９７７キロ！」

「ということは、そちらとこちらを合わせるとその重量、驚異の１６２１キロ！」

「今日は５名のご老人に集まっていただきました。
皆さん大変元気なんですけれども、全員の年齢を合わせるとなんと４６６歳！」

「こちらも負けていませんよ。
こちらに集まっていただいたのは新社会人３０名の皆さんです。
皆さんの年齢を合わせるとその合計６６３歳！」

「ということは、そちらとこちらを合わせるとその年齢、驚異の１１２９歳！」

【時代は８Ｋ】

「やはり８Ｋの方が解像度が高いので４Ｋよりもはっきり鮮明に映りますし、視野角も広いので多少正面からずれて見ても画品質の劣化が少ないという利点がございます」

「う～ん、やっぱり鮮明に映った方がいいわよねぇ。
じゃあ、この８Ｋ水晶玉いただくわ」

「ありがとうございます」

　今、占い界にも８Ｋの波が押し寄せている。

【ポイ捨て禁止】

「コラ！　タバコの吸い殻をポイ捨てするんじゃない！」

田辺さんの家の前にはバス停があったのでタバコの吸い殻をポイ捨てする人が多く、田辺さんは暇があると家の中から外を監視していた。

「コラお前！　ポイ捨てするな！」

「僕が捨てたのはタバコの吸い殻ではなくアップルパイですよ。
よってポイ捨てではなくパイ捨てですね」

「バカモンが～～！！！」

小説『混沌の力学』｜コウタニ｜note