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刑罰と賞与の難しさを、重職心得箇条から学ぶ(第9条)佐藤一斎


刑賞与奪の権利は、組織の中で誰がもてばよいのだろうか。
リーダーか、それとも管理職か。

「刑賞与奪の権」とは、「刑罰」、つまり、リストラや左遷の取り決めや降格人事、そして「賞与」、給料の増額やボーナスや昇格人事。

これを、誰が決めればよく、誰が決めたことにしたら良いのかという問題がこの重職心得箇条9条では言及されている。

刑賞与奪の権は、人主のものにして、大臣是れ預かるべきなり。倒(さかし)まに有司に授くべからず。斯くの如き大事に至っては、厳敷(きびし)く透間あるべからず。(重職心得箇条 第9条)佐藤一斎

この刑賞与奪の権、

リーダーが決めるべきものなのか。
それとも重職(管理職)が決めるべきものなのか。

現実問題、規模が小さな組織になればなるほど、社長の意志が強く反映されるにしても、表向き、誰が決めた事にすればよいかという問題。

この重職心得箇条とは、岩村藩の幼き城主を支えるために書かれた管理職マニュアル。
故に、そこでは佐藤一斎先生は、これは管理職の仕事であると規定していて、そこから逃げずに平等に、透明性をもって行うべしと述べている。

そこで、毎朝15分の勉強会にて、皆様に伺いましたら、小さな組織のリーダー(社長)は、社長自らが行うことが殆どであるとのこと。

しかし、これもまた、良く考えてみたら、リーダーが決めずに重職(管理職)が決めたとした方が、組織は運営しやすいかもしれません。

リーダー(社長)がワントップで行うと、どうしても私情が入る。
特に起業家は思いっきりさが必要なので、感情や情熱の強い人が多い。
故に、その難点としては、どうしても人間なので、感情や私情がどうしても入ってしまい、またワントップ人事には透明性は生まれない。

逆に、組織が小さければ小さいほど、自分の感情が入ってしまう。

そのため、時には社員の恨みを買う場合もあるだろう。
社員にとっては、社長=会社なので、愛社精神そのものに影を落とす場合もある。

故に、どんな小さな組織であっても、リストラや左遷する役割、賞与の額を決める役割は、表向き重職(管理職)が行った方が良いとなる。

社長「ごめんな、みんな、今回ボーナス低くて。専務の山田君が、このままだとコロナの影響で経営がやばくなるんじゃないかって心配するもんだから、この夏のボーナスは支給できないんだよ。
僕はみんなが頑張ってくれているの知っているから、どうにかならないって頼んだんだけど、専務のいう事もモットもだし、今この事態を乗り越えることを優先させたいから、悪い、協力してよ。」

っていう方が、確かに言いやすい。

専務「今年の夏のボーナスは、業績が良かったので今年は昨年より増額してお渡しできる事になりました。それでは社長からの一言をお願い致します。」

とした方が、確かに社長の格は上がる。

つまり、第3者が入った方が、合議制が見えるので、平等性と透明性を感じられるのだ。

問題はそれだけの人材が管理職にいるかどうか。
あと、社長が出しゃばらないか。

管理職になるのは、殆どが「管理職初心者」、つまり、管理職になどなったことがない人間がなる訳だから、当たり前だが管理職教育が必要だ。
この管理職教育のマニュアルが、今ここで紹介している佐藤一斎先生の「重職心得箇条」である。この管理職教育は、社内では出来ないもので、こればかりは社外に委託した方が良いだろう。

しかし、どうしても社長が納得できるような管理職に恵まれず、腹が立って、どうしてもワントップでやりたい場合はどうしたら良いか。

古代人は亀卜を用いて天意(天の意志)に仰いだという。

確かにそこには、平等性があり、透明性もあるけれど…。

つまりどういうことかというと、それは自分(社長)以外の第3者の介入(卜占の場合は、天意)によっての判断という事になるので、社長の感情や私情から離れた判断に見せることが出来る方法だった。(実際はかなりの工作はあったようだが)

令和の時代に亀の甲羅など焼いて、SNSで流されたら動物虐待だと大変な事になるし、そもそも大きな亀の甲羅など手に入らないから無理だとして、

「天意」という視点で考えると、前の社長や先代を登場させるという手がある。引退した人格者の重役を担ぎ出しても構わない。

そういう人がいない場合は、現在の管理職が支え切るしかない。

平等性と透明性とは、第3者が入ることで生じるもの。

故に、外部の人事コンサルティング会社に委託する場合があるようだが、組織が小さい場合でも、社内の人間の方が良いだろう。
社員は、重職から判断してもらいたいのだから。

故に、管理職教育の重要性を感じます。

山脇史端


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