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成長したければ春風を入れよ(重職心得箇条 第17条)

佐藤一斎著 重職心得箇条から捉える、
経営者を支える者の心得
今回は最終回

人君の初政は、年に春のある如きものなり。
まず人心を一新して発揚歓欣の所を持たしむべし。
刑賞に至ても明白なるべし。
財帑窮迫の処より、徒に剥落厳沍の令のみにては、
始終却て行立ぬ事となるべし。
此手心にて取扱あり度(たき)ものなり。

重職心得箇条第17条 佐藤一斎

新規プロジェクト・人事配置換えなど、
新制度開始に際し、最も注意すべきことは、

新春を迎える際の、あの清々しさ、
明るく楽しく厳かな雰囲気で
行うこと出来るかどうかだ。

私たちは物心ついた頃から、
四季に伴われながら成長してきた。
しかし社会に出ると、その時間枠が希薄化され、
その結果、曖昧な時間経過の中で、
その日を生きている人が増えてくる。

運命とはリズムであり、
リズムが伴わないと運もつかめず。

故に運命学では、
運をあげたければ、季節でリズムを整えろという。
日本には古来から、様々な年中行事があり、
それぞれに意味がある。

春夏秋冬という、自然のリズムは、
大地のリズムであり、生態系のリズムであり、
体内リズムであり、社会のリズムなのだ。

やる気が見いだせない、
何を目標にすれば分からない、
目標が定まらない社員には、

まず体内リズムを整えよう
それには、四季のリズムを取り入れることが
大切なのだ。

四季のリズムが掴めると、
組織や事業にリズムを合わせることが可能だ。

例え真冬に、新規事業を始める場合でも、
新春の雰囲気で行うようにする。

その雰囲気を作りだすことこそ、
管理職の大事な役割ではないか。

新春に大切なのは、
冬をしっかり終わらせることだ。

つまり、
それまでの事業の成果や評価を冷静に、
公平・明確にして整理し処理しておかない限り、
清々しいスタートは始まらない。

東京オリンピックは終わりか始まりか

財政が苦しいからといって、
倹約や減俸、気分が滅入るような
厳しく、寒々した命令や言葉ばかりでは、
新芽は芽吹かず、新たな展望は見いだせない。

折角新しい事が始まるのに、
そのような空気感では
意気消沈してしまい、
上手くいくものもいかなくなる。

オリンピックが何気なく開催したが、
新たな展望や目標、明確な発信をせずに始めたので、
私たちは勿論のこと、
世界中の人たちも、東京オリンピックを通した
新たな展望が見いだせない。

世界的パンデミック、
厳しい状況が未だ継続しているが、

どのような状況であれ、
新たな事を始めるには、
清々しい気持ちで、
正々堂々と行わねばならない。

それには今までのことをしっかり振り返り、
公平に清明に、問題点を明らかとし、
その上で、何をやるのか、
人類の未来のために、
やる事にどのような意義があるかを
明確に発信することこそ大切だ。

耐えるのはいいから、いい加減に再生しよう

全てを社会情勢のせいとし、
社内に内在する様々な問題点を、
見て見ぬようにして、
ただ静かに波風立たずに、
今が終わればよいと思ってはいけない。

「思うに、今後帝国の受くべき受難はもとより尋常にあらず、汝臣民の衷情も朕よくこれを知る、然れども朕は時運の赴くところ、耐え難きを耐え、忍び難きを忍び、もって万世のために太平を開かんと欲す」
[終戦の詔書]

玉音放送の有名な下りであるが、
同じような事を
社員に伝えているリーダーも多いのではないだろうか。
だが、佐藤一斎は述べている。

始終却て行立ぬ事となるべし。


終わりは、始まりである。
つまり、しっかり終わらせない限り、
しっかりしたものが始まらない。

いつが終わりで、いつが始まりなのか明確にわからず、
リズムが刻めず、曖昧に終わってしまう。

オリンピックは終わりなのか、始まりなのか。

政府から一切の明確なメッセージがなく、
マスクの下でコソコソ、
波風立たずに、
静かに終わらせようとしているため、
その先のビジョンが見えない、
だから不安なのだ。

巨額な投資が、新しい世界のスタートになるか、
それは、リーダーによる、
たった一つのメッセージで決まってしまう。

人材を木材で捉える

年輪法で捉えるのは、心の強度

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よい組織とは、風通しがよい、
理解しあえる関係構築だと思っている人は多い。

それは、仲良しクラブや町内会など、
利益を生み出さない場合である。

利害を生み出す組織とは、同時に、
切磋琢磨を繰り返しながら成長する必要がある。

「和と競争」を同時に取り込むコツはリズムだ。
早いテンポばかりでもダメで、
ゆっくりテンポばかりでもダメだ。

それには、
社員それぞれの心の強度を測りながら、
上手に組み合わせることが大切だ。

暦学年輪法

年輪をみれば木の年齢がわかる。

年輪は一年に一本刻まれるため、
その数を数えると樹齢が分かるからだ。

なぜ、一年に一度刻まれるかというと、
幹の成長は春が盛んで、夏期にはゆっくりになるからだ。

そのため、早く成長する春の時期は、
年輪の色が薄くなり、それを「疎」という。

夏のゆっくり成長する時期は、色が濃くなり「密」になる。
この、春と夏の成長を夏目という。

秋から冬は「冬目」と呼ばれる部分を形成する。
「冬目」の部分は、更にゆっくり成長するため、
密度がより濃くなり堅くなる。

故に、冬目がしっかりある木は
年輪も細かくなり、固く締まり強度が増す。

一方、温暖な地方の木は、
春の季節が長いため、成長は早いが、
冬目がないため、年輪が広くなり、
その分強度は乏しくなる。

暦学年輪法で、心の強度を測定する

人材年輪法とは、心の強度を測定する方法だ。

「年輪を重ねた人間」というと、
年齢を重ねれば年輪が出来ると思いがちだが、そうではない。

年輪は、樹木を輪切りにしない限り分からない、
つまり、外観からはわからない、心の強度だ。

社員の心の強度がどうなのか。

今まで順調な人生を送ってきた人間は、「夏目」型。
夏目型の特徴は、成長が早く、伸びやかで、
スラっとしており、葉にも華やかさがある。

苦労の連続が今に続く人間は、「冬目」型だ。
冬目型の特徴は、萎縮してしまい、
成長が遅く、心が固くなっている。

理想的な木材は、夏目と冬目のバランス型だ。

組織作りとは、建築物と似ているところがあり、
会社の屋台骨にはしっかりとした人材、銘木が必要だが、
サービス部門や回転の速い新規事業には、
木材自体が柔らかく、
柔軟に対処できる夏目型を求める場合も多い。

青森ヒバ、秋田杉、木曽桧は理想な銘木だが、
価格も高く、稀有である。
しかし、硬すぎるため、一般人が加工するには大変だ。

一番成長の早い木は竹材だ。
柔軟性があり、家の土台作りには適さないが、
インテリア部材として、
古くから様々な建造物に使用されている。

新規事業は、春の始まり

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重職心得箇条とは、
儒学者であり、現在でいうところの、
東大総長のような立場にいた佐藤一斎が、
若き藩主を支える重職たちに向けた心構えを
17条でまとめたものだ。

一斎が最終章に記したことは、
新しい事を始めるのであれば、
暗い空気を一掃して、
春の空気を藩内にもたらすことの大切さだ。

幕末のこの時代は、現在と同じく
先行きが見通せない不透明な時代であり、
藩の財政も破綻していた。

その中で、経営陣が暗くうつむいていても、
上手くいくものも行かなくなる。

人材は、春の空気の中で成長し、
冬の時代に強くなる。

自然界の摂理に取り入れ、
次世代の若者を成長させ続けることの大切さを、
一斎は伝えたかったのではないだろうか。

一般社団法人数理暦学協会
山脇史端

運命学の新しいカタチ 一般社団法人数理暦学協会

一般社団法人 数理暦学協会

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