十代へのワクチン接種と心筋炎

先日、YOUTUBEチャンネルで私のワクチン接種の体験談を公開したところ、接種に不安がある方からのコメントをいただきました。

コメントは以下の通り。
「来週の月曜日ファイザーワクチン接種するのですが怖いっす。」

動画ではワクチン接種にさほどの抵抗はなかったといいましたが(確かに抵抗はなかったのですが)いざ打つとなると『万が一ってことはないよね…』と何とも不気味な心持になったのも事実。

それを踏まえて、コメントへの返信は以下となりました。

「接種の不安、当然のことと思います。
私も不安でした。
病院での修業時代、重篤な基礎疾患(拡張型心筋症の患者さんや頸椎が一部溶けてしまってガタガタになっているようなリウマチの患者さんなど)をお持ちの患者様への治療(リハビリ)が不安だと親方(ドクター)に漏らしたことがありました。
そんな時、親方は「不安への解決法はきちんと理解することだ」とおっしゃいました。
「幽霊の正体見たり枯れ尾花」
下手に触ったら壊れちゃうんじゃないか?と思えるようなケースでも実際は要点さえ押さえれば普通に治療できることの方が多かったりすることが分かり、理解することの大切さを教えていただいたエピソードです。
いまもその路線は維持していて、大いに職業人としての私を助けてくれています。
大切なことはきちんと事実に基づく情報を足掛かりとすることです。
ネットの情報は意図的にねじ曲がったものが多いので根拠をもった情報をご覧になられることをおススメします。

たとえば、アメリカ感染症対策センターの資料に2021年6月までのファイザー接種後の重篤な副反応に関する報告があります。
重篤な副反応とは心筋炎や心膜炎です。
年齢別の発症件数は以下の通りでした。

12-17女性0.00091%/男性0.00665%(10万人当たり女性0.91人男性6.65人)
18-24女性0.00055%/男性0.00563%
25-29女性0.00026%/男性0.00204%
30-39女性0.00018%/男性0.001%
40-49女性0.00028%男性0.00051%
50-64女性0.00018%/0.00023%

この数字はいったい多いのか少ないのか?
インフルエンザの致死率と比較すると以下となります。
厚労省のインフルエンザの致死率の表を見る限り10-50代の致死率は0.001~0.002程度(10万人中1~2人)、70代は0.03%(1万人中3人)。
比較対象としては交通事故の発生率でもいいかもしれませんね。
とりあえずここでは比較対象をインフルエンザの致死率にしますが、これを見る限りワクチンによる心筋症の発症頻度はかなり小さいものと見えます。
これに対して、ワクチン未接種でコロナ感染した例では2.3%の確率で心筋炎を発症したようです。(すみません。この数字が全世代なの若年層なのかわかりませんでした…)
ちなみに、ワクチン接種の副反応として心筋炎が出たケースで入院加療が必要となったケースはたったの数例だったようです。
そして、入院加療の期間も2日とのことで致死的な問題ではなかったそうです。
副反応(心筋症)発症までの期間はおおむね4日、長くて5日でした。
この調査は接種後、29日間の発症の有無について調べています。
なので、接種後5日程度の間、急な息切れや脚のむくみに気を付ければよいようだということが分かります。

日本でも自宅療養者の重症化と医療を受けられずに亡くなられるケースが報告されていますが、ほとんどのケースではワクチン未接種の方か、接種歴のある方も接種から抗体の量があがりきる前の感染発症とのことです。

以上、ざっと思いつく情報を私見を交えてご紹介させていただきました。
アストラさんもぜひご自身で情報を確認してみてください。
その場合は根拠となる数字が明示された情報であるかどうか?情報源は信頼をおける相手なのか?にご注意ください。
そしてそれらの情報たちを俯瞰し、プラスご自身の条件(基礎疾患の有無や家族構成)に合わせて接種するかしないかご判断されれば打つにせよ打たないにせよ納得のゆく判断に近付くのではないでしょうか。
アストラさんの不安が少しでも軽くなることを願っています。

↓CDCのコロナワクチンに関するレポートです。ご参考まで。
https://www.cdc.gov/vaccines/acip/meetings/downloads/slides-2021-06/03-COVID-Shimabukuro-508.pdf
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/70/wr/mm7027e2.htm
※英語はまったく…なので翻訳ソフトにぶっ込んで読みました」

と、こんな感じで誠心誠意ご返信させていただきました。

基本的にはあまり怖がらなくてもよいのではないか?という立ち位置ですが、一点、気を付けてもらいたいのが接種後の運動です。
接種後の重篤な副反応として挙げられる心筋炎や心膜炎は接種後2-4日の出現頻度が高く、5日までは注意が必要とのことです。
その間はすくなくともハードな運動は避けた方が良いでしょう。
たとえ軽度の炎症であってもそこに負荷をかければ炎症は広がってしまいます。
最悪なケースでは心不全という結果も想定し得ると考えますので、接種後の1週間は静かに療養されることをおススメします。

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