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少し前に、夏休みの教室の「昆虫の教室」について紹介しましたので、もう一つの夏休みの教室の「貝類の教室」について簡単に紹介してみようと思います。

貝類の教室は2日にかけて行います。
1日目は午前が貝類採集、昼に淡水貝類を採集してもらって、午後からは午前に採取した土から微小貝類を採集します。
2日目は、微小貝類採集の続きをして、その後に採集した標本の同定と標本作成をします。

具体的には、1日目の午前は山に行って貝類を採集します。
その時に貝類の採集の仕方をいろいろと教えます。なお、陸の貝類といえばカタツムリですが、カタツムリというのは、この豊田町だけでも50種以上が生息しています。ただ、それらは大半が数mmくらいしかないとても小さな種類なのです。
種類については、こちらをご覧ください↓

採集の方法にはいろいろとありますが、まずはシフターという道具を使って落ち葉の土を篩って土を集めます。この中から午後に微小貝類を探すのです。どのようなところに多くの個体がいるかわからないから環境の異なるところをランダムに何度も篩って土を集めて、メロンくらいの量になったら袋にいれます。

シフターを使っているようす(黄色のが当館オリジナルのシフター)

次に、バケツに水を入れて、それに落ち葉や土をドバッと入れてかき混ぜます。これは浮遊法という採集方法で微小な貝類を水に浮かせて採る方法です。これでは、ケシガイなどが簡単に採集できます。

浮遊法で貝類を採集しているようす
水に浮くケシガイ(中央の白い貝)

最後に見つけ採り法という、まぁ要はただカタツムリを探すという方法です。クワで落ち葉などをよけて殻を探します。貝類の場合は生きていなくても死んだ殻で標本になるので楽です。他にのトイレの壁などもよく探します。

落ち葉の下のカタツムリを探しているようす

このようにして1時間くらいの間でざっと採集したら、ミュージアムに戻ります。採集はダラダラやっても疲れるだけなので、なるべく短時間で効率よく行います。戻ってから、少し説明をした後、昼休憩となります。

そして、午後からは午前に採取した土の中から微小貝を探す作業を始めます。最初は、なかなか見つけられませんが、慣れてくるとミジンヤマタニシやキュウシュウゴマガイなどを簡単に見つけて採集していくようになります。

さらに、生きたカタツムリの場合は、肉を抜かないといけませんので、そのやり方を簡単に説明します。まず、お湯で簡単に煮て、それでピンセットでするっと抜く方法や生きた状態で殻から抜く方法、さらには、殻の上に小さな孔を開けて、スプレー式エアダスターでシュッと抜く方法などを教えて実際にやってもらいます。
あとは、そのまま2日目まで自然乾燥します。

2日目は、微小貝類採集の続きをした後に、同定と標本作成をします。同定は、顕微鏡を使って当館が作成したテキストを見ながら自分で調べて貰って、ラベルに種名を書き入れます。また、蓋がある貝類の場合は、殻の中に綿を入れてそれに蓋を貼って貰ったりします。

そのような感じで2日で標本を作成して、昆虫の教室と同じで各自日誌も作って貰って終了となります。この教室では、カタツムリというのが実に多様であるということと、貝類の採集の方法というのを知って欲しいと思っています。

完成した標本