第22話 伝え方を模索する
前の話しで講義の仕方を模索していることを書きました(第21話参照)。ただ、学芸員という仕事では、一つの大きな役割がありまして、その中のほんの一部が講義というものです。そこで、その大きな役割自体を模索していることを少しお話ししてみようと思います。
学芸員の大きな役割というのは、展示にしても、講義にしても、調査・研究にしましても、とどのつまり「人に伝える」という役割があります。そして、その「伝える」というのは、私の場合は、ホタルのことであったり、下関の自然史に関することであったりして、そのすべてが「教育」になります。
ですから、なるべく子供から大人まで年齢に関係なく展示を見て伝わるようにしないといけないし、なるべくわかりやすく講義で内容を伝えないといけません。現時点では、いずれも十分にできているとは言えませんが、なるべく少しずつ無い知恵を絞って、不器用な自分でもできる方法を模索するしかありません。
これまで、展示や直接的な講義(対面+オンライン)、そして、YouTubeでの映像での発信、TwitterやnoteなどのSNSでの発信など、いろいろな方法で少しずつ「人に伝える」ということを試行錯誤してきました。それらはすべてが教育として考えているので、Twitterは多くの人に向けての出前授業のようになるように、イラストを描くときは近くの小学校の黒板を背景に使うようにして、自分の中では黒板に書いて説明している感覚です。
そして、最近、色々と考えた結果、もっとも人に伝える重要な媒体があることに気づきました。
それが、小説です。
小説は、漫画やアニメ、ドラマなどさまざまな人に伝える媒体の「源泉」として存在し、しかもそれが何百年と色褪せないとても重要な媒体であることに気づいたのです。
そこで、小説というものに手を出してみたいと思いました。小説の中で、ホタルのことや下関の自然史のことを理解してもらえるような内容を書けば一番伝わりやすいと思ったのです。
ただ、残念なことに私は本をほとんど読んだことがありません。小説に至っては、生涯で読んだ数は片手で数えるくらいしかありません。専門的な本も図鑑のような読み方しかしてこなかったので、最初から最後まで読んだ本なんてほとんどありません。図鑑は、調べたい種類のところとその関連を見て、他に興味があるところを見るくらいで、最初から最後まで一言一句逃さず読む人はいないと思うけど、専門的な本の場合はそのような感じで読むのです。
ほんと、一生懸命書かれた著者の方には申し訳ない読み方をしているものです。。。
ですから、いざ小説を書いてみようと思っても、いったいどうやって書いていいのかまったくわかりません。
そこで、架空のアマガエルの日記を妄想して書くところからはじめてみようと思いました。これだったら、1日1日を妄想して、書いていくことでいつのまにか小説のようにストーリーができていくかもしれません。また、人間を主人公にして書くと、身近な人が「これ私のことじゃないの?」なんて、苦情を言われるかもしれません。しかし、カエルだったらその心配はありません。
さて、まだ書きはじめて数日しか経っていないけど、やっとセリフというものをどうやって書いたらいいのかがわかってきたような気がします。
なかなか難しいものです。
いつかちゃんと小説が書けるようになって、ミステリー小説なんて書けたらいいな~と思っています。そして、その時はあのセリフを主人公に言わせてみたい。
「犯人はあなたです」