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夫の借金29,035,436円と私㉒

第22話 最終回は突然に

今までの人生の中で何度も、予期しない最終回を迎えてきました。

例えば、母が脳腫瘍になり入院する3日前に、母が作ってくれた夕食、それが私が母の作った料理を食べる最終回だったのです。

もしそれがわかっていたら、私は母に今まで数十年間食事を作り続けてくれたことを感謝したでしょう。
でも、最終回と知らなかった私は、それをしなかったのです。

ドラマのように予告があり、次回が、その次が最終回です、などと、人生では教えてくれません。
伏線回収も無く、それは突然訪れるのです。

何気なく迎えた家族との夕食、友人との楽しいひと時、旅行先の美しい景色など、それと知らずに最終回を迎えていることがなんと多いことでしょうか。

後から振り返れば「あの時が最後だったな」と思う事はたくさんあります。

日常の中での最終回は実に淡々と、音も無く静かに訪れ流れていく事が多いのです。

飼っていた犬が死ぬ前、1週間前に散歩に連れて行ったのが最後の散歩になりました。

私が結婚式を挙げる前日が、実家でお風呂に入った最後の日になりました。

私はいつの頃からか、普段の生活中で「最終回」を意識するようになりました。
今の世の中、いつ何が起こっても不思議ではありません。

夫を仕事に送り出す時、これが最後になっても後悔しないよう、しっかりと目を見て、心をこめて「行ってらっしゃい。気を付けてね」と言うようにしています。

借金残高 令和5年5月現在 7,318,757円











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