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「デッドライン・ウラシマ」

 東方の島国の港町が今、終わりを迎えようとしている。
 暴風雨が吹き荒れ、海は大波が暴れ狂い、一波ごとに陸を食んでゆく。そして……サメ!
「いやああ!」「ガボッ! がばああ!」
 荒波と共に大小様々なサメが人々を襲い、町を赤く染めていく。正に地獄絵図。偉大なる海が、明確な殺意を以て人間を滅ぼさんとしている様だ。
 人々が僅かな生存の道を求めて海から逃げ惑う。そんな中、ひとりの男が悠然と海へ向かって歩いていった。
 無謀と言うべき男を迎えるように、巨大なサメが大口を開け、男を一呑みにした。
 だが、次の瞬間……サメの腹を分厚い刃が体内から貫き、腹を切り裂き男が脱出した。
 男は荒れ狂う海の先を睨み付ける。サメの群れの中心に、鯨ほどもある超巨大ザメが。そして、超巨大ザメの頭頂部に、禍々しい存在感を放つ男。
 男はどこからか取り出した大剣を構え、海へ向かって駆け出した。海からは多数のサメが打ち上げられ、一斉に男に襲いかかった。

【続く】

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