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「ピーチガイ・ダーティーズ」

「おらァ! てめえ! さっさと! 吐けやァ!」

 ――心底イラつく。
 捕らえた密売人は五人。一人はビッチの奴がイカれた噛みつきプレイをおっ始めて、喉笛を食いちぎってオシャカ。
 一人はバルチャーの奴が四肢を末端から寸刻みにバラして、吐かせる間も無くオシャカ。
 そして一人はエイプマンの奴が目の前で殴り続けている。もう喋れる状態じゃない。そろそろ事切れる。
 一人は苛立ちのあまりに尋問前に首を切り落としたから、残るは一人だけだ。
 どいつもこいつも我先にと尋問を買って出たくせに、やりたい事やっただけで尋問になってねえ。結局最後の一人を手ずから尋問しなきゃならない。
 俺は最後の一人、ガタガタ震えてる密売人を睨みつけ、今すぐ脳天に刃を振り下ろしたい怒気を押し殺して口を開いた。
「……大老は心底お怒りだ。お前等が小遣い稼ぎに『KB』を横流ししたせいでな。どこに売りつけたか素直に吐けば、大老に直接申し開きできるように取り繕ってやる。吐かねえんなら……こいつらの玩具だ」
 部下の三人の視線が腰抜けの密売人に集まる。獣じみた視線の圧を浴びせられ、いよいよ嗚咽を漏らし出した。
「ま、待ってくれよ……仕方無かったんだよ……お、俺達だって強要されてたんだよ……流さなきゃタダじゃ済まなかったんだよ……」
 誰が言い訳をしろって言った? さっさとブチ殺したいが、我慢だ。気分を落ち着かせるために足甲にナイフをくれてやる。悲鳴がうるさい。
「それで? どこの? どいつらだ? さっさと吐け」
 腰抜け野郎は息を荒げながら、ようやく観念したように口を動かした。

 ――だが

「タオちゃん、誰か来たよ! 数は十以上! 武装有り! 手慣れてそうな足音!」
 ビッチが来客を感知した。同時に部下達の目つきが臨戦時のものへと変わった。
 あぁ、丁度良い。横流し先の特定とウサ晴らしが同時にできる。
「てめえら、KBをキメろ。もてなしてやるぞ」

【続く】

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