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EAT & RUN 2話

 始めは只の噂話だった。
 制限時間内に過剰な大盛りを完食すると無料、あるいは賞金が貰える、所謂大食いチャレンジを行っていた飲食店の界隈で、企画潰しの女が現れるという噂が流れた。
 曰く、十倍量のラーメンを六分で完食した。
 曰く、二.五キロにもなるカツカレーを三十分で二杯食べた。
 曰く、六十分以内に餃子百個を食べるチャレンジで、三百個食べた。
 あちこちで規格外の結果が叩き出されるうちに、その存在は周知されていった。
 だが、あまりの規格外に大食いチャレンジとして成立せず、やがて女はブラックリストとして店ヶに拒まれるようになっていった。
 大食いチャレンジの界隈で目撃されなくなると、女は別の場所に現れるようになった。
 女はコンビニやスーパー、弁当屋に陳列されている食べ物をその場で喰い散らし、そして逃げるという凶行に及ぶようになったのだ。
 その被害は広く、警察も出動した。だが、異常な身体能力と獣じみた感知能力によって、女は容易く逃げ果せた。
 凶行は続き、その都度逃げた。死傷者こそ出ていないものの、その推定被害額は看過できる額ではなかった。
 噂話の大食い王が社会を騒がす犯罪者となり、遂には指名手配されるまでに至った。

 ……そんなある時、ひとつの動画番組が始まった

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