1年生の質問への解答・・・カリウム・カルシウムの電子配置はどうなっているのですか?

カリウム・カルシウムの電子配置について疑問がありましたので、解答したいと思います。

Q. M殻には18個まで電子が入るのに、なぜ8個入った時点でN殻に電子が入
  りはじめるのですか?

A. これは、大学の内容を含んだ発展的内容で、
  教科書のP.98, 99に掲載されています。
  しかし、書き方がなかなか難しいので、
  少し噛み砕いて説明をします。

  電子が入る空間として電子殻が内側から
  K殻, L殻, M殻・・・と順番にあるわけですね。
  この電子殻を、卵の殻と見立てるとしましょう。
  すると、卵の殻には薄皮があるように、
  電子殻にも、「軌道」と呼ばれる
  卵の薄皮のようなものがあり、
  複数の軌道が束になって、1つの電子殻を形成しています。
  すなわち、K殻は軌道1枚、L殻は軌道4枚、M殻は軌道9枚、
  N殻は軌道16枚が、それぞれ束なって形成されています。

  続いて、この軌道にはルールがあり、
  軌道1枚につき、電子は最大2個まで入ることができます。
  ですので、K殻は軌道1枚×2個 = 2個、L殻は軌道4枚×2個 = 8個
  M殻は軌道9枚×2個 = 18個、N殻は軌道16枚×2個 = 32個
  まで電子が入れることになります。

  では、本題です。
  カリウムとカルシウムの電子配置では、
  M殻に最大数18入らずに、8個入って、
  次にN殻に電子が入っていきます。

  原子番号1~18まででは、
  電子殻が、K殻から順番にN殻まで並んでいきます。

原子番号1~18

  しかし、原子番号が19以降になると、

原子番号19~

  N殻の軌道1枚が、M殻の軌道4枚とM殻の軌道5枚の間に
  割り込んできます。
  (なぜかと言われると、昔の人が計算で求めたらそうなっていたから)
  この状態で、K殻から電子を入れていくと、
  K殻に2個、L殻に8個、M殻4枚に8個入り、
  19個目の電子はラベル上N殻に入ることになります。 

  すなわち、軌道の概念まで考えれば、
  カリウム、カルシウムの電子配置は、
  例外ではないと言えます。