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交番巡査たちの絆

 日テレ水曜ドラマの「ハコヅメ〜たたかう交番女子〜」は、これまでのバディものを常識を覆す新しいタイプとなった。
 この秋、新シーズンに突入するテレ朝の「相棒」に代表されるように男性コンビがバディものの常識だった。しかし、「ハコヅメ」はそれをうまく変えていった。原作は、「週刊モーニング」に連載中の泰三子の「ハコヅメ〜交番女子の逆襲〜」。原作やこれから放送されるアニメでは新米の川合麻依(永野芽郁)が主人公だが、ドラマではあえて元エース刑事の藤聖子(戸田恵梨香)を主人公にした。それが高く評価され、水曜ドラマでは久々のヒット作となった。
 町山交番に配属となった川合と刑事から交番勤務となった藤。まさに水と油といった感じだが、それを全く感じさせないコミカルさがドラマに彩りを添えた。
 また2人を支える人々の配役も適材適所のナイスキャスティングとなった。交番長の伊賀崎に戸田や永野と共演経験のあるムロツヨシ、町山署の刑事に三浦翔平、山田裕貴、西野七瀬。そして最もぴったりだったのが課長役の千原せいじと巧い役者たちを据えたのも好印象を持った。プロデューサーが漫画のイメージに合わせてキャスティングをしたのだろう。
 どんな事件や些細な出来事にもうまく対応して名コンビとなっていった藤と川合。そんな矢先、川合が悲惨な交通事故に出くわし怪我をする。藤はそんな川合を励ましてコンビの絆を強めていった。
 しかし、そんなコンビの絆が脆く崩れ去りつつある出来事が起きる。それは伊賀崎のバディだった藤の同期の桜しおり(徳永えり)を巻き込んだひき逃げ事故。最終回は、藤と川合が伊賀崎や刑事たちと共に犯人である「守護天使」に迫るのだが、特に伊賀崎の勇姿はこのドラマのスパイスとなる所以で巧かった。
 バディものの常識を覆しただけでなく、適材適所の役者を揃えた「ハコヅメ」は「TOKYOMER」や「ナイト・ドクター」と並ぶ夏ドラマのヒット作となった。原作はまだまだ続くので、できればパート2やスペシャルで2人の活躍をもっと見てみたい。面白いドラマなのだから、そうした声を生かしてもらいたい。

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