赤羽律紀

ここではシナリオやエッセイを書き続けます

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最近の記事

凝り固まった生き様

 以前、「若草物語」の主人公、町田涼(堀田真由)が「アイのない恋人たち」の主人公、久米真和(福士蒼汰)と似ていると記した。では何故そう考えるのか? それは2人に共通点があるということである。  まずは脚本家という職業。真和は連ドラを任されているが、なかなか芽が出ない。涼は学生時代に書いた演劇が評価されて以来、自らの才能を過信しているなんちゃって脚本家である。それだから、いい作品が生まれてこない。  次は、母親。真和の母親は、彼が中学生の頃に男と駆け落ちしたが、印刷工場を営む父

    • これは面白い

       趣里主演の「モンスター」。初回は数分見た程度でTVerで見返しただけだったが、2回目は引き込まれるように見た。この作品は醍醐味のあるということで、「嘘解きレトリック」以上に面白いと感じずにはいられない。  主人公の神波亮子は「大草圭子法律事務所」に現れて「弁護士をやってみることにした」と言い出す。先輩弁護士の杉浦義弘(ジェシー)は困惑するが、所長の大草圭子(YOU)は有無を言わせず承諾。こうして亮子は杉浦と共に弁護士としてやってみることとなったのである。  初回は恋人に「死

      • 何故彼は保健医になったのか?

         10月12日に始まった「放課後カルテ」。ミュージシャンとしても活躍する松下洸平の連ドラ初主演作だが、何故か疑問符が付く作品である。  主人公は小児科医の牧野。彼は病院の意向で小学校の保健医に就いたのだが、就任の挨拶で「保健室にはなるべく来ないでもらいたい」と言い放つ。仏頂面で人と向き合い方に難のある牧野は、以前から医局長の高崎(田辺誠一)から指摘されていた。「問題はお前だ」や「お前は人の心が分からないのか?」と厳しい言葉を投げつけられたくらいだから問題を起こした可能性はある

        • 端島の家族の物語

           長崎の沖合にある、端島。軍艦島となったここは石炭が多く作られた島だ。昭和30年代、先代の暮らしは石炭によって作られたといっていい。  昭和の端島と現代の東京を舞台にした日曜劇場「海に眠るダイヤモンド」は、70年にも及ぶ家族の物語である。脚本が野木亜紀子、演出が塚原あゆ子ということもあり、重厚感のあるドラマとなっている。  始まりは2018年(平成30年)。歌舞伎町のホストクラブに婦人のいづみ(宮本信子)が訪ねてきて、そこで働く玲央(神木隆之介)にプロポーズする。突拍子もない

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        • アイドル論
          3本
        • 「ミステリと言う勿れ」感想記
          7本
        • 俳句2021
          38本
        • テレ東ドラマ原案
          6本
        • 入院日記
          8本

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          何故終わらせない?

           最近、感じることがある。それは日曜昼の「アッコにおまかせ!」(TBS)と、日曜夜の「行列のできる相談所」(日テレ)が何故終わらないのかという疑問である。  「アッコにおまかせ!」は1985年10月に、「行列のできる相談所」(当初は「行列のできる法律相談所」)は2002年4月にそれぞれスタートした。  前者は芸能界のゴッド姉ちゃん、和田アキ子さんの司会で、はじめのうちは視聴者参加のコーナー(吉村明宏さんが担当していた)やゲストを交えたトークコーナーが中心になっていた。だが、そ

          何故終わらせない?

          四姉妹の行先は

           ルイーザ・メイ・オルコットの「若草物語」は、谷崎潤一郎の「細雪」と並ぶ四姉妹ものの名作である。「細雪」は原作通りにテレビ、映画、舞台と作られているが、「若草物語」に関しては日本でも映画、ミュージカル、アニメという具合に制作されてきた。  日本テレビ系の日曜ドラマで令和版が作られたが、「若草物語〜恋する姉妹と恋せぬ私」というようなタイトルでも分かるように恋に後ろ向きな次女を主人公にしたことで賛否両論が出ている。  次女の涼(堀田真由)は脚本家を目指していたが、どういうわけかテ

          四姉妹の行先は

          こんな物語があったとは

           前期の主演、目黒蓮同様「sirent」の出演者が月9に主演するとは思っても見なかった。都戸利津原作の「嘘解きレトリック」は、鈴鹿央士と松本穂香のW主演である。  昭和初期。とある田舎の村に暮らす浦部鹿乃子(松本穂香)は物心ついたときから他人の嘘を見抜く能力を持っていた。だが、それが災いし村人から妬み嫌われてしまう。母親のフミ(若村麻由美)はそんな鹿乃子を庇うもののこの村に暮らせないと悟り、村を出ていったのである。  やがて、九十九夜町に着いた鹿乃子だが、仕事が見つからない。

          こんな物語があったとは

          今も色褪せない

           平成9年は、フジテレビにとって転換点となる年であった。開局以来、河田町にあった社屋を港区台場に移したのである。  そういえば、この年の月9は高視聴率を記録する作品が多かった。その中でも異色中の異色と言えるのが「ビーチボーイズ」である。  これまでの月9は、ラブストーリーが中心であったが、7月に始まった「ビーチボーイズ」は男の友情を軸に描き、ラブストーリーを端に置いたという点では新しい設定ではなかろうか。  主人公は、かつてオリンピック候補だった元水泳選手の桜井広海(反町隆史

          今も色褪せない

          帰るべきところへ

           9月28日に終了した「GO HOME〜警視庁身元不明人相談室〜」。ドラマは実在する警視庁内の組織、身元不明人相談室を舞台に年の差があるが同期バディの三田桜(小芝風花)と月本真(大島優子)が持ち込まれたご遺体を帰るべきところへ返して行くという物語である。  元サッカー選手とその妻、大金を息子に残した父、インフルエンサーとその友人、といったように夫婦、親子、友人と絆の深さを感じた作品となっていた。  しかし、第4話以降になると2人のそれぞれの事情が明らかになる。詐欺に手を染める

          帰るべきところへ

          流れ着いた先に

           「海のはじまり」が23日に終わった。このドラマはいろいろな意味で賛否両論があったが、村瀬健プロデューサーと生方美久脚本ということもあり、見応えのある作品だったといえよう。  目黒蓮主演作ながら、主人公が亡くなった恋人の娘と共に親子になっていく設定は、あまりにもハードすぎたという声もある。多忙なスケジュールで過労になり、特別編が作られたこともあった。  それでも、この作品はTVerで再生回数が多く内容が濃かったことも高評価に繋がったと言ってもいい。  最終回は、月岡夏と娘の海

          流れ着いた先に

          当時と今

           平成5年に放送された「振り返れば奴がいる」。この作品は、劇作家の三谷幸喜氏がテレビドラマを初めて書き下ろした作品で、当時好青年役のイメージが強かった織田裕二が初の悪役を演じたことで知られている。当時このドラマには別の脚本家が充てられていたが、ある事情でできなくなり、三谷氏に白羽の矢が立てられた。  この作品が最新映画「スオミの話をしよう」の公開に合わせて再放送されたが(関東のみ)、今思えば不適切な内容だったのは言うまでもない。司馬(織田裕二)と石川(石黒賢)の二人の医師の対

          全てはここから始まった

           昨年の24時間テレビは、初めて地方で募金を行なった。2日目に山梨放送の会場(山日YBS本社)に行き、500円を寄付したのである。  しかし、その直後に系列局の日本海テレビでの募金横領問題が起き、不透明な事態となった。さらに、メインパーソナリティを務めてきた旧ジャニーズのタレントが逆風に見舞われた。  それを受けて今年のテーマは、「愛は地球を救うのか?」になった。敢えてメインを置かずに、賛同した芸能人をリレー方式で繋いでいく内容に変わった。  思えば24時間テレビの始まりは、

          全てはここから始まった

          FIVEとふたり

           1997年4月スタートのドラマといえば、「ひとつ屋根の下2」だろう。パート1にはやや劣るが、柏木家の兄弟たちの絆にほろっとさせられた人も多かろう。  だが、私が最もハマったドラマが赤川次郎原作の「ふたり」である。当時、テレビ朝日系の月曜ドラマ・イン枠で放送され、一色紗英と奥菜恵が姉妹役で、交通事故で亡くなった姉・千津子に見守られつつも前向きに成長していく妹の実加の姿が描かれた。過去に大林宣彦監督で映画化されている作品だけに感動させられた。  その一方で、日テレの土曜ドラマ枠

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          座長としての覚悟

           来週の「海のはじまり」は特別編を放送することがわかった。主演の目黒蓮の体調不良が理由だとのことだが、座長の重責が手に取るように分かった気がした。  「海のはじまり」は生方美久脚本、村瀬健プロデューサー、風間大樹チーフ監督らを中心としたスタッフが丁寧に作っている。目黒蓮を俳優としてブレイクさせた「sirents」や4人の男女の淡々とした生活を描いた「いちばん好きな花」も彼らの作品だ。  ドラマは主人公がかつての恋人が育てていた娘を父親としてどう迎え入れるかをスローペースで綴っ

          座長としての覚悟

          「彼女も戸惑っていたと思う」…山口百恵“育ての親“が明かした、過激曲「青い果実」を歌わせた理由(デイリー新潮) - Yahoo!ニュース https://news.yahoo.co.jp/articles/98aad7d52dfff63f53e37b155b859f3fae6b455f

          「彼女も戸惑っていたと思う」…山口百恵“育ての親“が明かした、過激曲「青い果実」を歌わせた理由(デイリー新潮) - Yahoo!ニュース https://news.yahoo.co.jp/articles/98aad7d52dfff63f53e37b155b859f3fae6b455f

          意外な才能を此処に見た

           8月10日にテレ東で放送された「放送作家松田好花」。リアムタイムでは半分しか見られなかったので、前の部分はTVerで見た。  日向坂46の松田好花が放送作家となって面白い企画を考えるという内容だが、その過程を見守るのがオードリーの2人ということもあり、面白かった。そもそものきっかけが2019年10月に放送された「日向坂で会いましょう」の宮崎ロケ。起きる時間を口にした松田に若林正恭が「放送作家みたいだな」と言ったのがきっかけだという。  それを真に受け、番組作りとなったわけだ

          意外な才能を此処に見た