見出し画像

脱炭素化へ本腰を入れたトヨタ、ダイムラー。日野と三菱ふそう統合し、商用車の未来つくりへ。

日野自動車と三菱ふそうはトラック・バスは5月30日(火)に経営統合することを基本同意。

両親会社であるトヨタ(日野)と(独)ダイムラートラック(三菱ふそう)も含めた4社で基本合意書を締結しました。

4社が共通する企業理念は、「移動を通じて、豊かな社会に貢献したい」という点です。その中で今回統合するきっかけとなったものは「商用車」です。
人やモノの移動を通じて、暮らしを支えている商用車は、「社会インフラ」ともいえる重要なモビリティでありますが、商用車は乗用車に比べて台数も少なく、日本市場で商用車メーカー各社が単独で対応するのは大変難しい状況です。日本・アジアにおける産業・雇用を守るためには、開発・生産など事業効率を高め、競争力を強化する必要があります。

そして、脱炭素化社会を目指すためトラックのEV化も加速させる必要があります。日野や三菱ふそうは小型トラックのEV車を製造しています。身近なところにあるものですと、ヤマト運輸の配達トラックは一部EV車になっています。(製造元:日野自動車、航続距離約150km)
小型トラックは物流という観点では、遠方へ一度に多くの荷物を運ぶ事ができないことが弱点になります。そこで、大型EVトラックを完成させた(独)ダイムラーの知見を借り、日本の「商用車が少ない問題」×「脱炭素化社会」を改善する必要があります。
ダイムラーのEVトラックは航続距離約500kmとなり、東京〜大阪間を充電せず走行できる計算になります。また、トラック運転手は4時間で30分以上休憩をしなくてはなりませんので、仮に4時間で250〜300km進み、30分の休憩で充電出来れば500km以上遠方までいける計算になります。
一方で課題としてサービスエリアやパーキングエリアに充電ポートを確保出来るのかという問題や急速充電でどのくらいバッテリーに電気を蓄積出来るのかという点が出てきそうです。

日野は前年比7.6%減の販売台数(不正も発覚し1,176億円の赤字計上)。
三菱ふそうも統計で14.8%減の販売台数です。
この2社の統合により新会社としてどのように経営するのかという点が気になるところだと思います。

●トヨタ側の統合メリット
長くなるので結論から。
EVの知見と実績が欲しいと予測しています。

不正を行った日野も立て直しも必要ですが、親会社のトヨタとしても日本企業として最高益の3兆円。ただ、EV車としてみたら世界トップ20位にも入っていません。これはかなりのギャップだと思います。世界のトヨタは「ガソリン車」でしかフィールドに立てないと。トヨタは今後かなり厳しいのではないか?と視線を集めていると思います。
トヨタがEV車で勝てないのは航続距離が250〜300kmほどと少ない点です。せめてこの倍は走らない限り売れる可能性は無いと思います。そこで大型なトラックでも500km走る事ができるバッテリーはどのようなものなのかを知見を得ることで、今後のトヨタEVシフト化を加速させる狙いがあるのではないかと推測しています。

●ダイムラー側の統合メリット
商用車のEV化には多額の投資が必要となり、規模が大きい会社と共同で進めることで、大規模な検証などもできるようになります。また開発が出来てもそれを製造する必要があり、保有する会社のみでは追いつかないと判断。そこで今回統合することでトヨタの高い技術力を持つヒトや工場などモノを活用できると考えたのではないかと推測しています。

長くなりましたが最後に今後について。
新会社の名称、所在地、体制、協業の範囲や内容については、協議の上、24年3月期中の最終契約締結、24年中の統合完了を目標として進めるとのことです。そう遠くない未来のため、またこの辺りはニュースになると思います。継続してウォッチしていきます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?