外山恒一&藤村修の時事放談2018.4.25「〝いい人〟安倍ちゃんは政治家には向いてない」(その1)
〈全体の構成は「もくじ」参照〉
FランのJ出版界が粗製濫造するFラン文化人の順列組み合わせ的な対談本の類とは比較にもならん超ハイレベル対談なので意外と……いや当然ながら大人気の、福岡在住の同い年の天皇主義右翼(でもインテリ!)・藤村修氏との〝時事放談〟シリーズである。
2018年4月25日におこなわれ、紙版『人民の敵』第42号に掲載された。
第1部は原稿用紙20枚分、うち冒頭7枚分は無料でも読める。ただし料金設定(原稿用紙1枚分10円)にはその7枚分も含む。
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今回もまた延々と〝しばき隊の話〟を?
外山 どうもどうも。久々の〝時事放談〟ですけど、最近何かありましたかね?
藤村 つい一昨日、大ニュースがあったばかりじゃないですか。清義明がついに野間易通を〝キモヲタ〟呼ばわりですよ(清氏は紙版『人民の敵』第24号にも登場してくれた元しばき隊メンバーで、『サッカーと愛国』イーストプレス・16年の著者。藤村氏との〝野間論〟のやりとりの末、藤村氏の「非常階段のライブで、女性ボーカリストが放尿しているのに感動したんですから、どう考えてもキモヲタですよね(笑)」というツイートに、「野間易通キモヲタ認定で終了ですね」と返答)。
外山 さっそく今回も〝しばき隊〟ネタからか(笑)。でもまあ、たしかにちょっと衝撃的ではあった。
藤村 昨日も家に帰って、さあ野間さんは何か反論してきてるかな、とワクワクしながらパソコンを開いたんです。オレと清さんのやりとりは絶対読んでるはずだし、反論してこなきゃヘタレだなと思いつつ……そしたらブロックされてて、読めないんだ(笑)。ブロックされてる!と思って、クラックのアカウントはどうだろうと見たら、そっちからもブロックされてた。
ブロックするのはいいんだけど、もしオレに対して一言の言及もなくブロックしてれば完全にヘタレでしょ。それで別アカで野間さんのタイムラインを覗いたんだけど、何の言及もなくてさ。それを確認した時のオレの喜び!(笑) こんなに嬉しいことはない。あの、ツイッター上で悪魔のように暴れまくっている野間さんに恐れられている! オレはもう、とにかく幸せな気分ですよ。
外山 野間サンって、そんなにすぐブロックする人だっけ?
藤村 あんまりしない。論争の挙げ句とか、あとネトウヨをブロックすることはたまにあるけど、そういう場合でも野間さんが以前から云ってたのは、相手にイヤな思いをさせた上でブロックしなきゃいかん、と。ネトウヨをブロックする時でも、ただブロックするんじゃなくて、向こうが何かムカッとくるような一言を放った上でブロックしろ、と野間さんは云ってた。でもオレに対しては一言もなく即ブロック(笑)。
外山 勝利だね。
藤村 ほんと嬉しい。
外山 ……あれですか、今回もまた〝しばき隊の話〟を延々やるつもりですか?
藤村 いやいやいや……(笑)。
西部邁氏の自決
藤村 〝時事放談〟なんでしょ。オレにとってここ最近の一番大きな〝時事〟は、西部邁の自決ですよ。
外山 そうか。そうだろうな。あれは1月だっけ?
藤村 うん、1月21日。
外山 あ、糸島市議選(1月21〜28日)の時だ。岸塚君(岸塚由将氏。かつてBARラジカルの最常連客で、福岡の〝反原発右派〟の一員。糸島市議選に突如として立候補し、供託金奪還の大戦果)の選挙で、ポスターを貼って回ってる最中にニュースが流れた。
藤村 とはいっても、とくに云うこともないけどさ。『死生論』(94年・ハルキ文庫)のあたりから書いてたことで、何の違和感もないし。そろそろ死ぬつもりなのかなあとは思ってたけど、いざ実行されてみると、やっぱりビックリした。……うん、以上(笑)。
外山 たしかに、とくにどうこう云うこともないよね。
藤村 『表現者クライテリオン』(西部邁が主幹していた『表現者』の後継雑誌)の追悼特集号が、「永訣の歌」ってタイトルで出ていて、絓(秀実)さんも書いてます。長崎浩も書いてる。
外山 長崎浩は、そりゃブントの人だもん。
藤村 『表現者』の頃から時々座談会にも出てたし……『六〇年安保 センチメンタル・ジャーニー』(86年・洋泉社新書)でも長崎浩の記述に一章を割いてるし。
外山 たしか対談もあったよね、例の、『オルガン』派シリーズの……。
藤村 うん、『オルガン』派というかマルクス葬送派というか、彼らがインタビュアーを務めるシリーズね(雑誌『オルガン』執筆陣の小阪修平、笠井潔、竹田青嗣などが聞き手を務めた、作品社の「〈現在〉との対話」シリーズ)。あのシリーズの中で唯一、インタビューされる側よりする側のほうが年上なのが、長崎浩による西部インタビュー(『ビジネス文明批判』86年)。
ともかく今回の追悼特集の絓さんの文章は面白かったよ。西部の〝保守〟をブントからの〝転向〟ではなくブントの延長線上に捉えてて、さすが絓さんって感じ。オレは最近、実は絓さんは偉大な批評家なのではないかと……。
外山 〝最近〟気づいたんだ(笑)。
藤村 シャレにならんぐらい偉大な人なんじゃないかと、最近(笑)。以前、ココ(九州ファシスト党本部)に絓さんが来たことがあるでしょ。
外山 あれはいつだったかな。だいぶ前だよね(09年8月26日)。
藤村 あの時はオレ、すごく気安く喋ってたけどさ。だって『オルガン』派びいきのオレからすれば絓さんは……。
外山 〝敵!〟だもんね(笑)。
藤村 もちろんオレは西部邁はずっと好きだったし、絓さんが一時は『発言者』(『表現者』の前身。94〜05年)によく書いてたことも知ってたよ。『発言者』に対しては〝金太郎飴だ〟っていう、つまりどこを読んでも同じことばっかり書いてあるっていう批判があるんだけど、その中で絓さんだけは毎回まったく他とは毛色の違う文章を書いてて(笑)、内容的にも面白かったし、すでに印象はかなり良かったんだけどさ。オレからすれば、絓さんは当時もう〝『発言者』知識人〟だった(笑)。〝『発言者』左派〟(笑)。
……でも実際あの頃、〝『発言者』左派〟は何人かいたんだ。高澤秀次って人(52年生まれの文芸批評家)もいたし、まあ左派じゃないけど宮崎哲弥も書いてたんで、『発言者』は必ずしも〝右〟の人ばっかりが書いてたわけでもない。
外山 鼎談本の『ニッポンの知識人』(KKベストセラーズ・99年)の3人だね、絓さん含めて。
〝つくる会〟には大東亜戦争肯定論者がいない!?
藤村 しかしパヨク(しばき隊界隈のこと)とかアホな左翼の中には、西部邁というと、「新しい歴史教科書をつくる会」の〝中心人物〟だった、的な認識があるみたいなんだよ。まったく信じがたいレベルだ。
外山 公民教科書(中学生用の『新しい公民教科書』。市販版は扶桑社・01年)のメイン執筆者だからじゃない?
藤村 うん、そうだと思う。でも西部邁はもともと、〝教育が良くなれば社会は良くなる〟という考え方が大嫌いな人なんだよ。
外山 さすが西部センセイ。ラジカル派としては当然の認識だね。
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