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雁木崩しの▲3五歩仕掛け~自戦記 石川(陽)七段戦~

ABEMA、モバイル中継で配信のあった対局でした。


振り駒で先手になり、駆け引きを経て後手が雁木に組み、こちらは矢倉囲いに組みました。

桂頭を狙う

序盤が終わり、相手が動きを見せてきました。

2020.8.23石川陽 朝日杯42手

次に△6五歩が狙い筋で、▲同歩には△同桂で銀の両取りになります。
△6五歩に手抜くのも、△6六歩▲同銀右△6五歩とおさえることで位をとれます。

よって先手としてはその攻めが来る前に動きたいところ。
その手始めが▲3五歩です。

2020.8.23石川陽 朝日杯43手

相手陣の弱点は7三桂の頭で、すぐにでも▲7五歩といきたいところ。
△同歩には▲7四歩で桂得になります。

▲7五歩の前に一本味付けをしたのが工夫でした。
実戦は▲3五歩△同歩に▲7五歩を敢行。相手は△8四飛と受けてきました。

2020.8.23石川陽 朝日杯46手

ここで3五歩の突き捨ての効果が出ます。

十字飛車

▲4五歩△同歩とさらに突き捨てて、▲4四歩と銀の頭を叩きました。

2020.8.23石川陽 朝日杯49手

△3四銀には▲1六角が痛打になります。
やむを得ない△同銀に▲7四歩△同飛▲2四歩

2020.8.23石川陽 朝日杯53手

これで△同歩には▲同飛が十字飛車になります。
3五歩と突き捨てた効果が如実に出ているのがおわかりでしょう。
これぞ歩の手筋!


宣伝を挟んでみました(笑)


実戦は▲2四歩に△3四角と受けてきましたが、やむを得ないながら苦しい受けです。

機敏な仕掛けでリードを奪い、以下はミスもありながらリードに守られて逃げ切りました。

▲3五歩の仕掛けは十字飛車との絡みで有効になるケースがあります。
覚えておいて損のない手筋でしょう。

この勝利で一次予選の決勝に進出しました。

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