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逆転を導いたタイムマネジメント~自戦記 門倉五段戦~

予選の決勝で、モバイル中継で配信のあった対局でした。

序盤で失敗、中盤でもチャンスを逃して完全な負け将棋に。
諦めかけていましたが、自玉が詰みそうで詰まず、逆転ムードに。

後手△が私。△7六角の王手に金を引いて受けてきたところ

後手玉は▲4四金△5六玉▲5七歩△6五玉▲7五金、という順で詰めろがかかっています。
自然なのは△6七歩成です。相手玉を追い詰めながら、自玉を安全にしている、ように見えます。この手が第一感でした。

ところが△6七歩成だと▲4四金△5六玉▲5七歩でとん死します。


変化図

△5七同とに▲6六金まで。△6七歩成は詰めろを受けていないのです。
このことに気がついて冷や汗が出ました。

ではどうするか。残り時間を費やして△5七桂の王手を発見しました。

実戦の進行

対して▲4八玉が自然ですが、そこで△8八竜と飛車を取るのが一連の構想です。
以下▲4四金△5六玉と進み、


変化図

▲5七金と指せれば詰みますが、先手玉が竜に取られるので禁じ手です。△8八竜と飛車を取った手がちょうどいい位置です。
かといって▲4七金打と金を使うと△6五玉で駒が足りなくなります。
これはハッキリ後手の勝ち筋です。

実戦は△5七桂に▲3九玉でしたが、やはり△8八竜と飛車を取りました。

実戦の進行

▲4四金△5六玉の時に5七に桂がいるので▲5七歩が打てず後手玉の詰みが消えています。
一方、いま飛車を取ったので先手玉が受けにくい詰めろになっており、攻防の手段も難しい状況です。
後手の勝ち筋に入り、以下数手で勝利しました。

最初の図の時点で19分残っていたのが功を奏しました。
もし秒読みだったら△6七歩成としてとん死していたかもしれません。
一局通じて決断良く指すことで最後の肝心なところで時間が残っていました。タイムマネジメントで勝ちをもぎとった一局でした。


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