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「ヤケクソ」と足りなかった「あと1点」~自戦記 村中七段戦~

モバイル中継のついた対局でした。


後手で相矢倉から守勢にまわる展開に。
受け損ないがあり、劣勢で迎えた図。

20200813村中遠山95手

▲2六金としばられたところ。次は▲3二角△2三歩▲2四馬以下の詰めろ。△2五歩と受けてもすぐに受けがなくなる格好です。

投了も頭をよぎりましたが、ふと粘る順が見えました。
「どうせ負けるなら」そんな思いで指した手から混迷が始まります。

ヤケクソ

△8六桂▲同歩△8七銀▲同玉△8六歩

20200813村中遠山100手

詰む要素は全くなく、思い出王手のようなヤケクソな手順です。


もし▲同馬なら後手玉の詰めろがほどけて一手の余裕ができます。
▲同玉には△8二飛で王手馬取りです。

実戦は▲7七玉とかわして、△8七歩成▲同玉△8二飛と進展。

20200813村中遠山104手

強引に王手馬取りをかけました。
▲8六角には△7五桂の切り返しがあり、馬を取れます。

実戦は▲8六馬と馬を助けてきましたが、これで少しだけ後手玉に余裕ができました。
とはいえ先手玉は安全なので、なんとか入玉して混戦に持ち込むのだけが狙いです。

足りなかった1点

それから約100手後(!)の局面。

20200813村中遠山198手

(全=成銀、圭=成桂)

大駒2枚と大量の持ち駒で攻められながら、桂と香と歩に守られてかろうじて入玉を果たしました。
劣勢ながら混迷が続き、詰めろ竜取りで初めて希望の光が見えた局面でした。

しかし▲7四成銀△1四馬▲7五玉が冷静な順で希望を打ち砕かれました。
竜を取ったものの、いざ相入玉を目指されると後手の駒が少ないのです。

持将棋に持ち込むのに必要なのは24点。

大駒(5点)が2枚あるので、あとは小駒(1点)が14枚あればいいのですが、現状で11枚。しかも取られそうな駒が多数。
相手の駒を取れたとしても、14枚には届かなそうです。

最終的には小駒を13枚集めたものの、計23点であと1点足らず。
247手で無念の投了となりました。

今期は叡王戦七番勝負で持将棋が続いています。
いざこうして自分が持将棋模様の将棋を指すと、その疲労度と消耗は半端なものではありません。


「将棋は体力」その言葉を痛感しました。

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