勝ちのない二択と堅かった金冠～杉本（和）五段戦～

モバイル中継で配信のあった対局でした。

運命（？）の二択

相手の先手中飛車から角交換となり、ジックリした展開へ。
ねじり合いが続き、終盤はチャンスがきたかと思いました。

直前で相手の竜を消して、調子が良さそうでした。
角を逃げるのか、手抜いて攻めるのか。
少なくともどちらか一つは勝ちがあるとみて、秒読みのなか非常に迷いました。

実戦は△８五角と逃げたところ、▲７九歩と受けてきました。

攻めてくる手しか読んでおらず、受けといっても自玉と反対の金を守る手には意表を突かれました。しかしこれが好手でした。
△４九角成と攻め込んでも▲３八銀引とされて寄せ切る自信が持てません。

実戦は△３五歩と突いたものの、△３六歩と進めてから△４九角成と飛び込んでも▲３八銀引とされて守備を突破できないため効果薄でした。
金冠が堅く、こちらの攻撃力が不足していたようです。

もうひとつの道

では角取りを手抜いたらどうなったか。
△７八竜▲６三成桂と進みます。

ここで△５七金が厳しい攻めですが、▲５八香△同金▲同銀△同竜に▲７六角が攻防の一着になります。
それを嫌って実戦ではこの順を選びませんでした。

同じように横から攻める手として、△４九金という手もあります。
▲５八香と受けたときに金取りにならないのが狙いです。

しかしここで△６九竜としても▲５七角と埋められるともうひと押しがありません。
この変化でも金冠が堅く、突破できないのです。
一歩あれば△５七歩という手がありますが、歩切れが痛いです。

運命の二択と思っていたら、結果的にはどちらも勝ちへの道がつながっておらず。どうやら冒頭の図は私のほうに分がなかったようです。

ここ最近はこうして振り飛車の懐の深さに泣かされ続けています。
しばらく振り飛車党との対戦がないので、次までにはその辺りを修正したいです。