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「敗着」と「敗因」~自戦記 青嶋五段戦~

モバイル中継のついた将棋でした。
局後の解説もつけていただき、詳細な解説で勉強になりました。

振り駒で後手になり、角換わりから積極的に討って出ましたが、やや無理気味で苦戦の時間が続きます。
持ち時間も消費し、かなり勝ちにくい展開でした。

一瞬のチャンス


この将棋で将棋AIの評価値が唯一互角だったのが図。

2020.5.19青嶋55手

▲9七角と遠見の角を打ってきたところ。
中継の局後解説で勝又清和七段が「本局の勝因となった」と解説されている手です。

ここで△7四飛と逃げたのが「敗着」でした。
以下▲5五歩△6三銀▲4五桂とかさにかかって攻められて参りました。

将棋AIによると、図では△6六飛と飛車を切るべきでした。
以下▲同金に△3九角と飛車金両取りに打ちます。

一見調子が良く、実戦でも指したかったのですが、▲9一飛と攻め合われたときに

2020.5.19青嶋59手

この金取りが受けにくく、勝てないとみて断念しました。

△7一歩や△8一歩(▲同飛成に△7二銀の意味)がどちらも二歩で打てないのが泣き所。
かといって△2八角成▲6一飛成の攻め合いも負け。
しかし銀を手放して受けるのでは戦力不足。

という読みでした。

ところが図で△7一銀と受けて互角と将棋AIは示します。
飛車の利きを止めるだけで抵抗のある手ですが、調べてみると先手も有効手段が難しいようです。

なお青嶋五段は▲9一飛にかえて▲5五歩の予定だったとブログに記していますが、そこに記載のある通り、△5五同銀▲同金△2八角成でやはり将棋AIは互角と示します。

敗着と敗因


実戦は△7四飛と逃げたので▲5五歩から攻められて、将棋AIの評価値もドンドンと先手に傾いていき、挽回できませんでした。
よって△7四飛が「敗着」でした。

いまは将棋AIの評価値があるので、「敗着」を導き出すのは難しくありません。
ただ、なぜ「敗着」を指したかという「敗因」を導き出すのは大変です。

本局でいえば、▲9一飛と打たれたときに△7一銀と打つ手が見えなかったこと。
そこに至るまで、無理な仕掛けをしてずっと不利だったこと。
こちらばかり難しい選択肢が続いて持ち時間を消費していたこと。

この辺りが「敗因」としてあげられます。

そして「敗因」を探ることで課題がみえてきます。そこで見えた課題を解決するのが、上達への道です。
気が遠くなるような道ではありますが、棋力を上げようと思えばそれを繰り返すよりありません。

その道を一歩ずつ進んで、また次の対局に向かいます。

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