踏み外した2択～西田五段戦～

モバイル中継で配信のあった対局でした。

運命の2択

終盤戦、相手の猛攻を受けたところです。

相手は竜を切って詰めろ銀取りの金を打ってきました。
ピンチですが、▲９三歩成から攻め込む切り札が残っており、いつそのカードを切るか。

実戦は▲８九玉と詰めろを避けて、△９六金に▲９三歩成を敢行しました。
以下△同香▲同香成△同香▲同桂成△同桂と進展。

ここで▲６二歩が手筋で、▲９四桂からの詰めろになっており、取っても金が逃げても逃げ道が封鎖されます。
しかし△７一金と逃げられたときに、逃げ道は狭まるものの金駒がないために▲９四歩と打った手が詰めろになりません。

実戦は▲６二歩を諦めて▲９四桂と打ちましたが、△７一玉と逃げられて届きませんでした。

戻って、△９七金の瞬間に攻め込むのが正解でした。

見えなかった▲７四桂

△９七金に▲９三歩成と攻め込むとどうなるか。

△同香▲同香成△同香▲同桂成△同桂と精算するのは、▲９四桂△７一玉に▲９八香が絶好の一着になります。

金を持つと後手玉が詰めろになる関係で、こちらに詰めろが続きません。
これは先手の勝ち。

問題は最初の▲９三歩成に△同桂と取ったとき。

これで負けだと思いましたが、▲同香成△同香に▲７四桂という手がありました。

▲９四桂と打つ手にとらわれていて、逆から打つのが見えませんでした。
△同歩に▲７三角と放り込みます。

対して△同銀は▲同桂成から長手数ですが詰み。
よって後手は△７一玉と逃げますが、そこまで決めてから▲８九玉と詰めろを避けます。

以下、△９六金は詰めろにならないので▲５二竜で勝ち。
△７三銀も▲同桂成△６七角に▲７八銀で詰みません。
△６七金は△９八金からの詰めろですが、▲７八銀でギリギリ耐えてそうです。

変化は多岐にわたりますが、この展開なら勝てそうでした。
難解な終盤戦でしたが、▲９三歩成と踏み込めば勝つ確率が高い展開です。運命の2択を踏み外してしまい、残念な敗戦となりました。