名角2連発に散る～石川（優）四段戦～

モバイル中継で配信のあった対局でした。

先手で相手の三間飛車に持久戦で対抗。
模様のいい将棋でしたがリードにつなげられず、もみ合いの中で苦しくしてしまいました。

角を捨てて勝負と迫り、互いの玉が危険な状況に。
持ち時間も残りわずかで接戦の終盤戦になりました。

詰めろ逃れの詰めろ

▲８五桂打と詰めろをかけて迫ったところ。先手玉は薄いながら詰みは難しい格好なので、詰めろが続くかどうかの勝負だと思っていました。

そこへ飛んできた△４六角

これが詰めろ逃れの詰めろになっています。
先手玉は△７九角成から豊富な駒を打っていけば追い詰み。
詰めろ逃れのほうは具体的に、▲６一金△８二玉▲７三桂成△同玉▲７四金△８二玉▲９二角成△７二玉（取ると詰み）▲８三馬△８一玉と進んだときに、

４六に角がいなければ▲８二馬△同玉▲８三歩成以下の詰みとなります。
あまりにも見事な一着にクラクラしました。

詰めろ逃れのタダ捨て

△４六角と打たれたところで残り少ない時間を割いて考え、鬼手を思いつきました。
それが上図での▲８二馬！

玉で取れば▲８三歩成から角がきいても詰みますが、△同角で明快に詰みません。
文字通りのタダ捨てですが、角を移動させたことで先手玉の詰めろがほどけました。
それが馬を捨てた意味です。

△同角に▲８三歩成と詰めろをかけて、

後手は受けがきく格好ではなく、先手玉に詰みはありません。
▲８二馬は我ながら見事な一手で、勝ちになったのではないか、そう思いました。しかし。

名角2連発

ここで再び△４六角打と打ってきました。

これが再度の詰めろ逃れの詰めろ。
▲８二とに△同玉と取るのが狙いです。
（△同角は先手玉の詰めろがほどけるので▲８七香と詰めろをかけて勝ち）

▲８七香で詰みそうですが、△７二玉▲８三角△８一玉と進み、

ここで▲９二角成△同玉▲８三金△９一玉▲８二金、という詰み筋を消したのが△４六角の意味です。

△８二同玉の局面では▲７一角も見えますが、△９一玉▲９三香に△９二桂がぴったりした合駒で届きません。

勝ちになったかと思った数分後、負けを悟りました。

実戦とは思えない次の一手のような攻防。
▲８二馬で勝てれば最高でしたが、見事な名角2連発の前に残念な敗戦となりました。