じいちゃんが買ってきたベイトリール

こんにちは!
北海道美深町を流れる天塩川でカヌー・ボートツーリング、ドリフトボートフィッシングツアーのガイドをしているトヤガクトです。
HPはこちら→https://gac-river-tours.com

もう亡くなってしまいましたが、私のじいちゃんはよく釣具を買ってくれました。じいちゃんと一緒に上州屋に行き、ルアーを買ってもらった時はめっちゃワクワクしましたし、毎日眺めていたと思います。

しかし、じいちゃんはルアー釣りをしたことはありませんでした。釣具を買ってやると言って釣具店に行っても何を買っていいのかわからないのです。
そこでじいちゃんがとった行動は、店内にいた中学生くらいの少年たちに「何を買ったらいい?」と普通に聞いていました。当時の僕はまだ小学校低学年くらいで、その中学生たちはほぼ大人のように見えます。
しかし、じいちゃんから見たら普通の子ども。その子どもたちを釣りの先輩として見て、何を買ったらいいかその場で解決するじいちゃんの行動力はすげぇと思ったことがあります。

そんなじいちゃんですが、自転車でフリマに行き、釣具があるとよく買ってきてくれました。
その中でも印象的だったのはベイトリール。じいちゃんはいくらで買ったのかわかりませんが、孫が喜ぶと思って買ってきてくれたんだと思います。

しかし、ここで問題が発生。それは、このリール使い方が誰もわからない、ということ。当時はYoutubeもなく解説動画なんてありません。ベイトリールをという名称すらわかりませんでした。

とりあえず、ハンドルを回すとスプール(糸が巻いてあるところ)が周り、ベイトリール前方にある糸を通すところが左右に動いて、糸が偏らないようになっていることはわかります。でもこれだと、糸を巻き取ることしかできません。

では、どうやってルアーなり仕掛けを投げるのか?色々とこの未知のリールを父や母が触ってみて、ここを押すとこうなるとかやってみます。ハンドルの内側にある小さいダイヤルを回してみたり(ドラグ)、側面にあるダイヤルを回して見たり(ブレーキ)、そして見つけたのが、スプールの手前にあるクラッチを押すとスプールがフリーになってこれで投げらるんじゃないか説でした。

いざ、じいちゃんが田んぼで拾ってきた、若干ガイドが少ない、スピニング用のルアー振り出し竿にベイトリールを装着し、クラッチを押してルアーを投げてみます。
ちなみに、当時はスプールもクラッチも名称はわかりませんでした。

いざルアーを投げてみると、ルアーは飛んでいきますが、一瞬でバックラッシュします。バックラッシュとはルアーが着水して糸がもう出なくてもいいのに、スプールだけ回転し続けて、スプールで糸が絡まることを言います。

何回投げてもバックラッシュする・・・なんなんだこの不便な釣り道具は・・・とまた、ベイトリールは私の両親に課題を与えてきます。
試行錯誤した結果「これ、投げてルアーが着水する前に親指で糸を押さえるんじゃない?」と父か母が言ったような気がします。言ってないかもしれません。もう20数年前の話なので・・・

いざ、サミングをしてみます。サミングなんて言葉は当然当時は知りません。サミングとはルアーが着水する前に回転するスプールを親指で押さえてバックラッシュするのを防ぐ技術です。

サミングしてみるとバックラッシュしませんでした。でも思いっきり竿を振るとバックラッシュします。こればっかりはベイトリールの各部分をいじっても対処できませんでした。

それもそのはずで、じいちゃんがフリマで買ってきた段階からメカニカルブレーキのキャップが付いていなかったのです。そりゃブレーキ効かないから思いっきり竿を降った瞬間にバックラッシュするよねという話でした。
メカニカルブレーキとは、投げた時にスプールが回転する速度を制御するもので、これがないとスプールはなんの抵抗もないので、思いっきり竿を振ると投げた瞬間にバックラッシュします。

前の所有者が、メカニカルブレーキのキャップをどこかで無くして使い物にならなくなったのでフリマで売ったのでしょう。
それでも、この不便なベイトリールとじいちゃんが買ってくれたバイブレーションというルアーで、雷魚かナマズを釣った覚えがあります。

じいちゃんが釣り道具を買ってきてくれたおかげで、今自分は釣りを通じた人づきあいがあり、仕事にもつながっています。
あの時、使い方のわからないベイトリールを買ってきてくれなかったら、今頃スピニングリールしか扱えなかったかもしれません。

その後、高校生の時に買ったアブガルシアのベイトリールはめっちゃ飛ぶし、バックラッシュも少なくて最高でした。
これも、じいちゃんのベイトリールで訓練したからかもしれない。

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