今はファクタリングが使いにくい

新型コロナの影響で営業の中止などが続いています。中小零細企業は内部留保がほとんどないので、売り上げの減少は資金ショートのリスクに直結しています。政府は、支援策としてかなりゆるゆるの融資や助成金等の施策を出しています。

発表当初は金融機関の窓口が混雑していましたが、今は少し落ち着いているようです。ただ、実際に資金が手元に来るまで早くても1か月程度、書類の不備や金融機関の窓口の対応によっては2か月以上かかることもあるようです。

そこで比較的スピードが速いノンバンクのローンやファクタリングで資金をつなごうしているケースも見られます。しかしながら、その利用について注意しておきたい点があります。

ノンバンクのローンは審査が速く、300万円程度までなら担保や保証人が不要の商品があります。金利は年率10~15%程度と高いものの、背に腹は代えられないので申し込む方が増えています。ところが、ノンバンク側も現在の状況はデフォルトリスクが高いので審査基準を引き締めているようです。もともと利用実績がある場合でも日銭を稼ぐ業種だとクレジットラインを下げられてしまったという話も聞きます。いつ終息するか見通せない状況ですから、終息する前に事業が息づまる可能性があるとなればお金を出しにくいのは当然です。

では、売掛金を買い取ってもらうファクタリングはどうでしょう。一部の業者では手数料を不要とするなどの支援策を打ち出しています。

とても良い取り組みですが、売掛金を買い取るという仕組みのため、営業を取りやめる期間が長引くほど売掛金を決済できなくなるリスクが高まるほか、売り上げが減ってしまって買い取ってもらう売上金がないということにもなりかねません。来月、再来月の売り上げが平年並みに回復する保証がない以上、安易にファクタリングを利用してしまうと、翌月にはさらに売り上げが減り、ファクタリングした売掛金は使えないという状態になるので資金繰りはさらにひっ迫します。

このような状況では、まず上に示した政府の施策に申し込んで利用できる状態にしておいてからどうしても必要なときに最低限の資金だけノンバンクのローンやファクタリングで手当てするという使い方をお勧めします。

大事なことは「必要最低限」だけということです。これを払わないと倒産するという分だけです。頼んで待ってもらえるなら待ってもらいましょう。今後も事業を続けるための資金の手当てだということを忘れずに。

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