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2次元版の立体射影1(メモ書き程度)

※この記事は今後、2次元版の立体射影を考えるときの自分用のメモ的な感じである。したがって、読みずらいかもしれない。

記号の定義
・$${S^1}$$:単位円の円周。つまり$${ \{(x,y)\in \mathbb{R} ^2 | x^2+y^2=1\} }$$
・$${N}$$:点$${(0,1)}$$。北極点(North Pole)と呼ぶこともある。
・$${S^1 \backslash \{N\} }$$:$${S^1}$$から点$${N}$$を取り除いた曲線。

今回の主題
写像 $${f:S^1\backslash {N}\rightarrow \mathbb{R}:(x,y)\mapsto \dfrac{x}{1-y}}$$は全単射。

この写像はどのようにして得られるのか(実はこれが全単射を示すカギ)
・点$${A(x_0,y_0)}$$を単位円上の北極点Nでない点であるとする。つまり、$${A\in S^1\backslash \{N\}}$$
・直線$${NA}$$とx軸の交点を$${\tilde{A}}$$とすると、$${\tilde{A}}$$のx座標が$${\dfrac{x_0}{1-y_0}}$$となる。
・実際、直線$${NA}$$の方程式は、$${y=\dfrac{y_0-1}{x_0}x+1}$$となるので、これのx切片が$${\tilde{A}}$$のx座標となる。
・つまり上の方程式に$${y=0}$$を代入すればよくて、$${0=\dfrac{y_0-1}{x_0}x+1}$$、したがって、$${x=\dfrac{x_0}{1-y_0}}$$。

1:単射性の証明
つまり、$${(x,y)\neq (z,w)\Rightarrow \dfrac{x}{1-y} \neq \dfrac{z}{1-w}}$$を示せばよい。
ここで$${x=z}$$なら$${y\neq w}$$であり、$${\dfrac{x}{1-y}-\dfrac{z}{1-w}=\dfrac{(x-z)-(xw-yz)}{(1-y)(1-w)}=\dfrac{x(y-w)}{(1-y)(1-w)}\neq 0}$$となって、題意が示される。(ここで$${x\neq 0}$$であることに注意。もし$${x=0}$$なら点$${(0,y),(0,w)}$$の一方は北極点となり不適)

では、$${x\neq z}$$の場合を考えていく。まず、$${x}$$と$${z}$$が異符号なら、$${1-y>0, 1-w>0}$$より$${\dfrac{x}{1-y}}$$と$${\dfrac{z}{1-w}}$$も異符号だとわかるので不等号。また、$${x}$$と$${z}$$の一方が0のとき、$${\dfrac{x}{1-y}}$$と$${\dfrac{z}{1-w}}$$の一方は0となるので不等号。よって特に$${x}$$と$${z}$$が同符号のときを考える。

・$${x\neq z}$$かつ$${x,z>0}$$であるとする。図形的に考える。
下の図のように点$${A(x,y),B(z,w),\tilde{A}\Bigl(\dfrac{x}{1-y},0\Bigr),\tilde{B}\Bigl(\dfrac{z}{1-w}\Bigr)}$$と$${\theta,\varphi}$$を与える。ただし、点$${A}$$が第一象限にあるなら$${\theta>0}$$、第四象限にあるなら$${\theta<0}$$とする。$${\varphi}$$に関しても同様。

・$${ON=OA=OB=1}$$より、$${\bigtriangleup OAN,\bigtriangleup OBN}$$は二等辺三角形となる。このとき、$${\angle AON=\dfrac{\pi}{2}-\theta,\angle BON=\dfrac{\pi}{2}-\varphi}$$なので、$${\angle \tilde{A}NO=\dfrac{1}{2} \Bigl(\pi-\Bigl(\dfrac{\pi}{2}-\theta \Bigr) \Bigr)=\dfrac{\pi}{4}+\dfrac{\theta}{4},\angle \tilde{B}NO=\dfrac{1}{2} \Bigl(\pi-\Bigl(\dfrac{\pi}{2}-\varphi \Bigr) \Bigr)=\dfrac{\pi}{4}+\dfrac{\varphi}{4}}$$。
・条件$${(x,y)\neq (z,w)}$$から$${\theta\neq\varphi}$$なので、$${\angle\tilde{A}NO\neq\angle\tilde{B}NO}$$。
・ここでもし$${\dfrac{x}{1-y}=\dfrac{z}{1-w}}$$だと仮定すると、$${\bigtriangleup OAN,\bigtriangleup OBN}$$は辺$${ON}$$、$${\angle O}$$を共有し$${O\tilde{A}=O\tilde{B}}$$なので$${\bigtriangleup OAN}$$と$${\bigtriangleup OBN}$$は合同だとわかる。しかし、先ほど求めたように$${\angle\tilde{A}NO\neq\angle\tilde{B}NO}$$なので矛盾。よって$${\dfrac{x}{1-y}\neq\dfrac{z}{1-w}\square}$$

※$${x\neq z}$$かつ$${x,z<0}$$の場合は、y軸に関して対称移動させてから上の議論を適用すればよい。

2:全射性の証明
つまり、$${\forall u\in \mathbb{R},\exists (x,y)\in S^1\backslash {N}\mathrm{s.t.}f(x,y)=u}$$を示せばよい。結論からいうと、$${x=\dfrac{2u}{u^2+1},y=\dfrac{u^2-1}{u^2+1}}$$とすればよい。実際、

$$
\dfrac{x}{1-y}=\dfrac{\frac{2u}{u^2+1}}{1-\frac{u^2-1}{u^2+1}}=\dfrac{2u}{(u^2+1)-(u^2-1)}=\dfrac{2u}{2}=u
$$

となる。ただし、点$${\Bigl(\frac{2u}{u^2+1},\frac{u^2-1}{u^2+1}\Bigr)}$$が$${S^1\backslash{N}}$$の元であることは計算によりすぐにわかる。

では、$${x=\dfrac{2u}{u^2+1},y=\dfrac{u^2-1}{u^2+1}}$$がいかにして導出されるかを下に述べる。まず$${x=\dfrac{2u}{u^2+1}}$$について考える。ここで計算の都合上、$${y\geq0}$$の場合と$${y\leq0}$$の場合に分ける。前者の場合、$${y=\sqrt{1-x^2}}$$なので、任意の$${u\in\mathbb{R}}$$に対し$${u=\dfrac{x}{1-\sqrt{1-x^2}}}$$を満たす$${x}$$を求めればよい。計算すると、

$$
\begin{align*}
u &=\dfrac{x}{1-\sqrt{1-x^2}}\\
u(1-\sqrt{1-x^2}) &= x\\
u-x &= u\sqrt{1-x^2}\\
u^2-2ux+x^2 &= u^2(1-x^2)\\
u^2-2ux+x^2 &= u^2-u^2x^2\\
(u^2+1)x^2-2ux &= 0
\end{align*}
$$

$${y\geq0}$$のとき$${x}$$は0でないので$${(u^2+1)x-2u=0}$$となり$${x=\dfrac{2u}{u^2+1}}$$が得られる。また、$${y=\sqrt{1-x^2}}$$だったので,$${y=\sqrt{1-\Bigl(\dfrac{2u}{u^2+1}\Bigr)^2}=\dfrac{|u^2-1|}{u^2+1}=\dfrac{u^2-1}{u^2+1}}$$。ここで絶対値をはずす点に関しては議論を省略するが、$${x}$$の範囲が$${-1\leq x \leq 1}$$であることに注意して地道に計算すればよい。

$${y\leq0}$$のときも上とほぼ同じ計算により$${x=\dfrac{2u}{u^2+1}}$$をえる。また、このとき$${y=-\sqrt{1-x^2}}$$なので、$${y=-\sqrt{1-\Bigl(\dfrac{2u}{u^2+1}\Bigr)^2}=-\dfrac{|u^2-1|}{u^2+1}=-\dfrac{1-u^2}{u^2+1}}$$となる。

とりあえず、以上。

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