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140字小説集

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140字小説だけ集めたもの。コメント欄に設定付き。
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2014年7月の記事一覧

「マスター、いつもの」「おねーさん、ここバーじゃないから」「何よ、スマイル0円でしょ!?」「マックでもないから」「特上ね、特上!」「すし屋でもないしね」「あのね、全部ウソ。ホントは…あなたに会いに来たの」「ヘイ、ゆず塩ラーメン一丁お待ちー」「ワーイ、ズルル」周り「ズルル」←定番

10番地5号棟、屋上につながる階段の扉は3時33分に異次元へとつながる…って小学生の私たちは信じてた。204号室の森田が言った。「駆け落ちしよっか」「どこに?」「異次元」森田は高校を中退してぶらつき、私は都内一の進学校へ。「また先に逃げ出すくせに」笑う森田の頭をなでる。臆病者め。

たった一言が言えずに終電。高田馬場で内回りなきみと渋谷で乗り換え外回りな僕、今新宿。「じゃあこっちだから」「また」またも何も今日は卒業式だ。ホームでうなだれる僕に着信。『次いつ会おうか』顔を上げると、向こう側ホームで笑うきみ…ああもう「すきだ」あっけなくぽろりと言えてしまった。