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インタビュー01_CEO西田宏平

名古屋大学発のスタートアップであるTOWING(トーイング)は、土壌の微生物を制御する技術、月面基地での食料生産システムの開発などで注目を集めています。
トーイングという社名は、ロケットなどを牽引するトーイングカーからとっていたり、当社の商品名が宇宙から1字を取った ”宙炭(そらたん)” だったり、西田宏平社長と西田亮也副社長が兄弟で、”リアル宇宙兄弟”と呼ばれていたり、宇宙要素が盛りだくさん。
ただ、宇宙領域は研究開発プロジェクトの1つで、地球での持続可能な農業を推進するプロジェクトでも注目されております。
今後、トーイングはどのような会社になっていくのか当社代表の西田社長に会社の設立経緯や現在の事業内容、今後の展望などをお話ししてもらいました。


――これまでの西田社長の生い立ちや経歴などをお聞かせください。

名古屋大学理学部の地球惑星科学科に進学して天文学者になりたかったのですが、大学の天文関係の授業が難し過ぎてついていけなかったんです。そんな中、たまたま受けた環境や農業の授業に興味を持って、水力発電や木質燃料などの再生可能エネルギーや土壌微生物の分野にチャレンジしている研究室に出会いました。ここで出会ったメンバーで名大起業家スクールや講座に参加したのが、起業のきっかけです。
ただ、学生時代にすぐ起業はできませんでした。当時(2017年ごろ)は、持続可能な農業に対するニーズがほとんどなく、ビジネスができないと判断しました。なので、大学卒業後は、DENSO(デンソー)でエンジニアとして働きつつ、副業ベースで細々とプロジェクトを続けて機会をうかがう形になりました。この時に、ビジネスコンテストやハッカソンに出場して、仲間集めも進めて、トーイングの原形になるチームが徐々にできていきました。

―― 今のお話の延長としてトーイングの起業があったのですね

そうです。宇宙に関するビジネスアイデアを競うビジネスコンテスト「S-BOOSTER」に参加して賞をいただいたので、このときの賞金を資本金に入れて株式会社にしました。
 会社は2020年2月の設立です。しかし、設立直後に新型コロナウイルス禍がやってきました。しばらくは副業を継続し、20年11月に独立。大林組社などと宇宙農業に関する共同研究プロジェクトを中心に取り組んでいました。こちらは現在も、内閣府が主催するスターダストプログラムの中で、予算をいただきながら継続開発ができています。
――トーイングでは西田さんの弟である亮也さんが副社長を務めており、“リアル宇宙兄弟”などとも言われています。亮也さんを会社に誘った経緯、さらに宇宙に興味を持った背景を教えてください。
 兄弟そろってマンガ「宇宙兄弟」の大ファンなので、恐れ多いですが、とても嬉しいです。会社を作ろうと思った時に、やっぱり ”誰とやるか”が非常に大事だなと考えました。器用貧乏タイプの私と違い、弟は物事を深めることが得意な専門家タイプでした。うまく役割分担ができれば良いチームになるのではと思って誘いました。狙い通り、弟は研究者として、ドンドン成果をあげてくれています。

―― 今の会社の中心的な事業は、宇宙ではなく、地球のプロジェクトと伺いましたが、どのようなものでしょうか。

宇宙では月の砂に微生物を培養して、地球より生産性が高い循環型の畑を作るプロジェクトにチャレンジは継続しています。ただビジネスは少し先に盛り上がるので、今は地球中心です。地球では炭に微生物を培養して、優れた農業資材を開発するプロジェクトを実施しており、”宙炭”という商品名で販売しています。宙炭は、持続可能である一方で扱いが難しいとされている有機肥料の利用ハードルを下げたり、作物の生育促進をしたり、耐病性を向上したりと、様々な農家さんにとって良い効果があります。さらに地域の未利用バイオマスを炭や有機肥料の形で有効活用できる、農地に炭を入れることで炭素を固定して温室効果ガスの排出量を削減できるといった様々なことに恩恵をもたらす、良いことづくめの商品なんです。宙炭を生産するプラントを各地に展開し、サステナブルな次世代農業を起点とする超循環社会の実現を目指しています。

――今は、どのような未利用バイオマスの活用を検討しているのでしょうか。

有機肥料は地域でうまく使われていない、畜ふんや魚系の残渣、油粕をはじめとする植物系の残渣など、一般的なモノです。炭の原料が様々で、木質原料、農業残渣だけでなく、茶殻や豆カス、場合によっては成分分析をした上で問題ないことを確認した食品工場の汚泥なども使うことを考えています。国内外で一緒にプロジェクトいただける方を募集中です。

――今動いている大きなプロジェクトはありますか。

愛知県、群馬県、静岡県、北海道、九州など全国各地で宙炭を社会実装するプロジェクトを進めています。各地域で農家さんには、様々な形態の宙炭を使用いただき、フィードバックをもらいながら、改良を重ねています。まだまだ課題があるラインナップもありますが、土壌改良材としては、安定的に良い成果をあげることができはじめています。

――今後の展望について教えてください。

事業展開は3段ロケットで考えています。第1のロケットは、既に炭やそれに近い形になっているバイオマスの宙炭プラントの展開です。第2ロケットは、含水率が高い豆カスや茶殻などのハードルが比較的高いバイオマスの宙炭プラントの展開や、東南アジアやアメリカなど海外展開です。第3ロケットとして、宇宙への進出を考えています。

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