NFTにこの機能はある?投資家に騙されないために
NFTが流行っていますが色々な情報が飛び交っています
中にはNFTに本来存在しない機能を、あるかのように書いている場合もあります
NFTを正しく理解して、デマや誤情報に騙され、詐欺に巻き込まれないようにするために、本当にその機能あるの?一覧を作りました
役に立ってくれると嬉しいです
なおこの文章はgithubにも公開しているので、ここが違うよ、というのを見つけた人はプルリクエストを送ってくれると嬉しいです
また、あえて投資家たちが使う形でのNFTを実装した機能群のことをNFTと呼称しています
同じ意味の問答があるのは、言葉や言い方が違うだけで、違う意味と解釈する人が居るため、そういった人にヒットさせるためです
NFTは結局なんなの?という話もまとめています
こちらもよろしく
# その商品が本物であると証明する機能はありますか?
NFTで最も多い誤解ですが、このような機能はありません
ただし、トークンを作った人の身元がはっきりしている場合は本物である可能性が高いです
そのため、NFTアートを購入するときは、作者の身元がしっかりしているかを確認する必要があります
これは現実と同じですね
# NFTのデジタル商品はコピー不可能なものですか?
違います
NFTに何度も登録できてしまうので、同じデータ、あるいはほぼ同じデータが複数流通する可能性があります
マーケットで禁止していても他のマーケットで売られているかもしれませんし、NFT外でいくらでも売られている可能性があります
# NFTを使えばデジタルな作品の無断配布を防げますか
防げません
データだけを取り出してしまえば複製して配布できます
# NFTは作者を証明してくれますか?
作者を証明する機能はありません
他人の作品をNFTに登録する行為が横行しています
データをコピーして再販売されることも防御できません
# NFTアバターを使えばリッピングを防止できますか?
防止できません
# データの所有を可能にしますか?
NFTによってデータの所有が可能になる、というのは完全に間違った説明です
付随する契約で可能ですが、効果は今までのインターネットと同じです
# NFTを使って所有権を証明できますか?
できません
# どの説明にもNFTはデータを所有可能にするって書いてあるよ?
できません
# じゃあ何が出来るの?
貨幣以外の情報も付け加えられるようになった改変不可能な取引履歴です
これだけで素晴らしい世紀の発明ですが、しかし、投資家たちが期待しているような機能に比べるといささか地味かもしれません
登録した人とその契約さえしっかりしているなら、価値があります
そのため、出自がはっきりして、売買の内容もはっきりしているものであればNFTは意味があります
NFTマーケットなどでは独自に正当性を調査するサービスを兼ねている場合もあるので、そういったサービスが正常に動いているかもチェックしましょう
残念ながら多くのNFTアートは、簡単に出品できるチェックのないマーケットから出品されてしまっています
# 改ざんやコピーをできなくするんだよね?
改ざんができなくなるのは取引履歴のほうであり、商品のことではありません
逆を言えば、登録前に行われた改ざんは感知できないのと、利用者が改変して利用することは防げません
トークンの指し示す商品が登録時から変わっていないことは証明できます
しかし、トークンがそのデジタルデータに1つのみ発行されている証明はできません
コピーできなくなる機能は一切どこにもありません
デジタルデータを暗号化する機能もありません
# NFTは鑑定書のようなものですか?
違います
NFT自体に鑑定する機能はありません
もともと鑑定されている場合に限り、取引が記録されているため、それが同じデータであるという証明はできます
# NFTでは価値が保証されますか?
されません
保証するのは過去にいくらで取引されたかという履歴であって、商品の価値ではありません
出品した人が別名義で自分の商品を購入するだけで吊り上げが可能です
# NFTには不動産の価値がありますか?
ありません
# バーチャルな土地をNFTで買ったら価値がありますか?
99%ありません
現在、バーチャルな土地の売買は基本的に詐欺です
バーチャルな土地の売買はセカンドライフのように成功例はありますが、みんなが利用してはじめて価値が出るものなので、人気や有名さを確認せずに購入すると損します
NFTには土地に何らかの価値を付与する機能はありません
そのため「NFTだから価値がある」と言われた場合詐欺の可能性が非常に高くなります
「価値が保証される」と言われた場合は100%詐欺と言い切れます
# NFTによってデジタルアートの所有権を得ることができますか?
法律上の話で言えば日本では民法85条により、所有権を持てません
# 所有権はなくてもデジタル所有権は得られますよね?
デジタル所有権は誰かが作った造語で、何の意味もない言葉です
今のところそういうのを定義した法律はありません
# では契約上の権利を得ることはできますか?
これはありえます
契約により、そのトークンを所持している人が商品を専有することができる、といった記述があるなら、実際に商品の権利を得ていると言えます
これを便宜的に所有権と呼ぶことはあります(正確には利用権や知的財産権ですね)
ですので、NFTアートなどを購入するときはどういう契約になるのかを確認する必要があります
また、他人のイラストを勝手にNFTに上げている場合も数多くありますので、出どころもしっかり確認しなければいけません
# NFTで購入したらそのデータを使えるのは自分だけですか?
前の購入者がデータのコピーを所持したり、勝手に再配布している可能性があるので、NFT=独占権ということにはなりません
# NFTアートは本物のアートですか?
NFT上には偽物や作者を詐称したものが多く出回っているので、しっかりと調べなければいけません
もし調べられないなら手を出すべきではありません
NFTを使っているから本物だと言っている人がいれば詐欺を疑ってください
# メタバースに関係ありますか?
直接は関係ありません
NFTにメタバースを構成する機能はありません
この2つが同時に語られるのは投資家の都合です
メタバースに意欲的なMeta社(元Facebook)は、国境を超えた決済方法として注目しているようです
Fortnite開発会社の創設者は技術的な興味を持ちつつも、現在は投機的として承認はしていません
VRChatが置かれているsteamプラットフォームでは明確に規約でNFTが禁止されました
# オラクルという機能で本物を判定しているんですよね?
完全なチェック機能を持つオラクルが実装されることは現在はもちろん未来においてもないと思われます
オラクル機構は、こういう機能があれば良いなという想像上の概念です
ちなみに「神のおつげ」という意味です
# どうしてここに書かれているような説明と違う説明がたくさんあるのですか?
2つの説明が可能です
ひとつは、人づてに聞いたりたとえ話をしているうちに、そういう機能があったらいいなと日頃から思っていたものに拡大解釈してしまったからです
「取引の履歴が改変不可能である」という話は「データすべてが改変不可能で本物である」となってしまいました
暗号技術を使っているという要素も「きっとデジタルデータをすごい暗号化しているに違いない!」と誤解を招いたかもしれません
トークンによって販売されているのが利用権であるというのも「所有権を販売している」と表現された結果、「NFTはデータに所有権を付与できるんだ!」となってしまいました
これらはすべて都合の良い拡大解釈です
もうひとつは、記事を書いている彼らはNFT関係の仮想通貨を持っているので、これが高騰すると儲かるからです
2021年の1年間のうちにNFT関係の代表的仮想通貨イーサリアムの価値は10倍になりました
# 自分の作品が勝手にNFTに出品されてしまうと著作権を盗られてしまいますか?
NFTには所有権や著作権を証明する機能はありません
よって、勝手にNFTに登録されても権利が盗られたり、自分が偽物になってしまうということにはなりません
ただし、購入する人が出てしまうと詐欺の被害にあってしまうので先に通報したほうが良いかもしれません
また、勝手にあなたのアートのキャプチャなどを使われている場合は著作権侵害で訴えることが可能かもしれません
# 価値が保証されるなどと言われて購入してしまいましたが、詐欺で訴えることができますか?
海外の事例では返金まで漕ぎ着けた場合と、逃げられてしまった場合があるようなので、なんとも言えません
出品した人の身元をしっかり確認しておくのは大切でしょう
# 結局NFTを利用するときに一番気をつけなければいけないことはなんですか?
購入側としては、最初に登録した人の信頼性と、購入によってどのような契約が成立するかの2点を確認することです
販売側としては、価値が保証されるとか所有権が得られるといった、間違った情報を伝えて詐欺になってしまわないようにすることです