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だまされないための簡単NFT知識

NFT流行ってますね
色々な情報サイトが夢のようなことを謳っています
例えば価値が下がらないとか、本物であると保証されるとか、デジタル不動産であるとか、誰もがアーティストになれるとか・・・

そんなに都合がいいことってあるのかな?」とかちょっと思いますよね
希望や夢物語ではなくちゃんと何が出来るのか知りたい人は多いと思います
でも、真面目な説明は、数学やプログラムの知識が必要そうでよくわからない・・・
そんな人のためにまとめました

技術的なことわり
言葉の定義は本来のものではなく世の中で使われているものにあえて沿っている場合があります
例えばNFTはそれが利用できる技術群のことを指している場合があります
より正確な定義と情報を求める場合は技術的な記事を参照ください

ブロックチェーンってなに?

NFTはブロックチェーンの1つの機能です
でもブロックチェーンからしてよくわからないという人はいると思います
「えーと、ビットコインとかああいうやつでしょ・・・?」

ブロックチェーンを本当に説明しようとすると数学的な話をいっぱいしなければいけないですが、何が出来るのか?というのはそれほど難しいことではありません

ブロックチェーンは、「改ざんがとても難しい、取引の記録」です

ブロックチェーンの記録は分散して処理されていてとても強固なものです
国家レベルの権力があっても勝手にお金を作ることができません
なので国境を越えた信頼性のある通貨として使えるんじゃないか?ということで色々な人がビットコインを使いはじめたわけです

お金の取引以外も記録できるイーサリアム

ブロックチェーンの技術を応用して、お金の取引以外も記録できたら便利なのでは?ということで作られたのが、ブロックチェーン第2の代表、イーサリアムです

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ビットコインでは取引をしても記録されるのはお金のやり取りだけです
なので、AさんがBさんに10万円分を渡したけど、じゃあBさんはAさんに何を売ったの?というのは記録されません

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イーサリアムなら「BさんがAさんにデジタルアートを売りましたよ」という情報を含めることができます

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これがNFTです

NFTとは、お金以外の取引の記録のこと

さてNFTが何のことかがわかりました
NFTはビットコインでは記録できなかった、お金以外の取引の記録のことです
しかもこの記録はブロックチェーンを使っているので改ざん不可能です

すごい!

代替不可能(ノンファンジブル)というのは「コインみたいに交換はできないものの記録だよ」という意味なのです
が・・・
なぜか「コインみたいに交換はできないもの」という意味が拡張され、唯一無二を証明するとか、不動産であるとか、データの所有を可能にしますとか、みんなそんなことを言ってますよね・・・
でもそういう機能は無いんです、あくまで取引の記録です

それに、NFTで売られているものが本物とは限らないのです・・・
さあここからが本編です

NFTは取引を証明するけど商品を証明しない

Dさんがとあるデジタルアートを買いました
有名なアーティストの限定最新作だそうです
取引の履歴を調べると、最初にAさんがBさんに100万円で売って、それをCさんが120万円で買っていたので「これは値段が上がるに違いないぞ」と思って、Cさんから150万円で買ったのです

さて、今後値段が上がるかどうかはともかくとして・・・Dさんが買ったデジタルアート、本物なのでしょうか?

ブロックチェーンなので偽造はされません
なのでAさん、Bさん、Cさんが売っていたデジタルアートが同じものであるということはブロックチェーンが証明してくれます

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・・・まってください!
じゃあ最初のAさんの持っていたデジタルアートが本物かどうか、誰が証明してくれるんですか!?

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これがNFTの大きな弱点です

NFTは途中の取引をちゃんと証明してくれますが、最初にブロックチェーンに持ち込まれたデジタルデータがどこから来たのか証明してくれません
もしかしたら無断で複製したものかもしれませんし、有名なアーティストではなくAさんが自分で勝手に描いた絵かもしれません・・・

実際に他人の絵を無断でNFTに登録したり、作者を偽って売りさばくという詐欺が横行して事件になっています

投票などのシステムで解決できないか研究している人は居ますが、完璧なチェックシステムは未来においても完成しないと思われます(というかそれが完成するなら取引の記録を作る必要がないのでNFTは不要になります)

また、唯一無二であるという証明もしてくれないので、1つだけかと思ったら実は大量に売られていた、なんて可能性もあります

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NFTは取引を証明するけど価値を証明しない

Dさんは、BさんやCさんが高値でAさんのアートを買ったのを見て価値があると判断しましたが、これ、本当に別の人でしょうか?

ブロックチェーンは別のアカウントで売買に参加することが可能です
ですから、BさんもCさんも、実はAさんの別アカウントである可能性があるわけです

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あくまで証明されているのは「取引があった」ということだけです
NFTによって価値が証明されているわけではありません

NFTはデジタルデータそのものを持っていない

イーサリアムはお金以外も記録できますが、それでも画像のような大きなファイルは難しくなってしまうので、実際に取引されているのは作品へのリンクを含んだ権利書のようなものです
しっかりした権利が書かれていれば、大きな問題にはなりません
土地や株だって、そのものではなく権利書を売り買いしてますからね

でも、いったい何の権利を売り買いしているのか、しっかり確認はしておきましょう
NFTを持っているからといって所有権があるわけではありません
契約によってしっかりと取引されている必要があります

NFTは暗号化もコピーガードもされていない

アーティストの人々にとっても、NFTは魅力的な市場です
とくに今まで違法コピーに悩んでいた人にとっては「作者が証明できるらしい!」と喜んでいたかもしれません

残念なことに、先に書いたとおり、NFTは取引を証明してくれますが、最初に登録されたのが作者本人かどうか証明してくれません
また、コピーガードのような機能もありません
ひどい話ですが、NFTで買ったデータを、自分の作品としてNFTで売るという人が居るくらいです
いつものインターネットよりひどい・・・

暗号的な技術が使われているので、暗号通貨と呼ばれていますが、別に取引が暗号化されて隠されているわけではありません
あくまでそういう技術を使っている感じであって、みんなが想像するような暗号化ではないんですね

じゃあNFTはどういうときに役立つの?

「あれができない、これができない、じゃあNFTって意味がないの?」
そういうわけではありません

例えば有名なアーティストが自分で作品を登録して、それをちゃんと公言し、売買される権利もしっかりしたものであるとします
こんなときNFTは最大の威力を発します

芸術作品の世界では、たまに行方不明になった作品がひょっこりオークションに出品されたりしてニュースになります
もちろんそれは本物なのか?という話になりますよね
どういうルートで誰の手に渡ったものか途中わからないから、もしかしたら偽物に入れ替わっているかもしれない・・・ということで、鑑定人や鑑定書なんかが必要になってくるわけです

NFTならば最初に登録されたものが本物という証明が取れれば、あとはずっと改ざん不可能な取引の証明を追いかけることができます
これは本当に素晴らしいことだと思います
(NFTに鑑定書の機能があると言っている人はたぶんこのことを言ってるんだと思いますが、あくまで最初の信頼度を引き継げるという意味であってNFT自体にデータを鑑定する機能があるわけではありません
誤解を招く表現だと思います)

NFTで気をつけるポイント

というわけで、NFTアートを買おうとしている人が気をつけるべきポイントがはっきりしてきました
・最初に登録されたものが信頼できるものか調べること
・取引は何の権利を売買しているのか確認すること

NFTアートを売ろうとしている人も次のことに気をつけないといけません
・NFTに登録してもコピーガードや暗号化のような機能はないということ
・価値が保証されるなどNFTに存在しない機能を謳って詐欺にならないようにすること

NFTの情報について調べる人は次のことに注意してください
・NFTの価値が上がれば得をする人がいっぱい居て、機能を誇張してネットに書いていると意識しておくこと
・こういう機能があったらいいなという気持ちで、意味を曲解してしまわないようにすること

NFTとはなにか迷っていた人にこの記事が少しでも役立つと良いと思います


以上、タオルくんでした