メルマガ『東医宝鑑(東醫寶鑑)とういほうかん―古典から東洋医学を学ぶ―』第23号バックナンバー

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 ◇ 東医宝鑑(東醫寶鑑)とういほうかん―古典から東洋医学を学ぶ― ◆


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  第23号 目次

    ○ 「四大成形 四大の成形」


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 こんにちは。今号は前回の「胎孕之始」の次の項目、「四大成形」
 です。


 ◆原文◆

 四大成形

   釋氏論日地水火風和合成人筋骨肌肉皆
   屬乎地精血津液皆屬乎水呼吸温煖皆屬
 乎火靈明活動皆屬乎風是以風止則氣絶火去
 則身冷水竭則無血土散則身裂○上陽子日髪
 齒骨甲假之于地涕精血液假之于水温煖燥熱
 假之于火靈明活動假之于風四大假合而生也
 地之盛也骨如金水之盛也精如王
 火之盛也氣如雲風之盛也習如神


 ▼断句▼

 釋氏論日、地水火風和合成人。
 筋骨肌肉皆屬乎地、精血津液皆屬乎水、
 呼吸温煖皆屬乎火、靈明活動皆屬乎風。
 是以風止則氣絶、火去則身冷、
 水竭則無血、土散則身裂。

 上陽子日、髪齒骨甲假之于地、
 涕精血液假之于水、温煖燥熱假之于火、
 靈明活動假之于風、四大假合而生也。
 地之盛也、骨如金。水之盛也、精如玉。
 火之盛也、氣如雲。風之盛也、智如神。
 

 ●句法・語釈●

・語釈 

  釋氏 しゃくし 釈氏、釈迦のこと。


 ■現代語訳■

 四大成形(しだいせいけい、si4 da4 cheng2 xing、
sa dae seong hyeong)

 仏典に説くには、
 「地、水、火、風が和合して人が形成される。
 筋骨、肌肉は全て地に属し、精血、津液は全て水に属し、
 呼吸、体温は全て火に属し、精神の活動は全て風に属する。

 であるから、風が止まれば気が絶え、
 火が去れば身体が冷え、水が竭きれば血が無くなり、
 土が散じれば身体が裂けるのである。」


 上陽子が説くには、
 「髪、歯、骨、爪は地に賦与され、
 涙、精、血、津液は水に賦与され、
 温、煖、燥、熱は火に賦与され、
 精神活動は風に賦与される。
 四大が仮初めに合したのが生である。
 地が盛んであれば、骨が金のようで、
 水が盛んであれば、精は玉のようで、
 火が盛んであれば、気が雲のようで、
 風が盛んであれば、智が神のようである。」


 ★解説★

 前号の「胎孕之始」に続く項目です。これも天地と人との関わりが
 述べられていると考えてもよいでしょう。

 この「四大」、どこかで見覚えがありませんか?

 少し時間が空いてしまいましたが、部分としてはすぐ前、東医宝鑑の
 一番の冒頭の「身形藏府圖」の項で登場した語です。その項は「孫真人」
 の言葉として、天と人、また地と人との相関を述べつつ、一番最後に人
 という存在は「皆、四大五常を禀(うけ)て、假に合して形を成す。」
 と説いていたのでした。今回の上陽子の言葉にもほとんど同じ骨子の
 内容が登場しますね。

 ここで改めて四大について項目を立てて敷衍しているのはそことも
 繋がりを持たせつつ、人間存在の成り立ちを改めてこの観点で強調
 したかったからだと思われます。

 これを読むと思想的な言葉のように見えますが、これは当時の
 生理学の基本でもあり、ここに説かれているのは思想的な身体論
 だけではなく、生理学的な記述でもあり、あくまで医書としての
 記述―天地との関わりも含めた医学の―になっています。

                      (2011.02.10. 第23号)
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  ◇ 東医宝鑑(東醫寶鑑)とういほうかん―古典から東洋医学を学ぶ― ◆
         発行者 T touyihoukan@gmail.com

      
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