メルマガ『東医宝鑑(東醫寶鑑)とういほうかん─古典から東洋医学を学ぶ』第206号 ─「よもぎ」のテーマ読み ─ 36「鍼灸法」(雜病篇・寒(下)・鍼灸法)

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 ◇ 東医宝鑑(東醫寶鑑)とういほうかん─古典から東洋医学を学ぶ─ ◆


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


  第206号

    ○  新企画 ─「よもぎ」のテーマ読み ─ 36
       「鍼灸法」(雜病篇・寒(下)・鍼灸法)

       ◆ 原文
      ◆ 断句
      ◆ 読み下し
      ◆ 現代語訳
      ◆ 解説 
      ◆ 編集後記

           

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
 
 こんにちは。前号に引き続き「寒」の「鍼灸法」灸部分の続きです。


 ◆原文◆(原本の文字組みのままを再現・ただし原本は縦組み
      ・ページ数は底本の影印本のページ数)


 (「鍼灸法」 p409 上段・雜病篇・寒(下)・鍼灸法)

  鍼灸法

     傷寒六脉倶無取復溜補之大回六脉合谷中極
   支溝一寸半此穴和脉絶穴巨厥三寸三分氣衝灸七壯綱目


 ▼断句▼(原文に句読点を挿入、改行は任意)


  傷寒六脉倶無、取復溜(補之大回六脉)、

  合谷、中極、支溝(一寸半、此穴和脉絶穴)、

  巨厥(三寸三分)氣衝(灸七壯)。『綱目』


 ●語法・語(字)釈●(主要な、または難解な語(字)句の用法・意味)


  特になし


 ▲訓読▲(読み下し)

  
  傷寒六脉(しょうかん、ろくみゃく)倶(とも)に無(な)きは、

  復溜(ふくりゅう)を取(と)る(これを補(おぎな)ひ

  大(おおい)に六脉(ろくみゃく)を回(かへ)す)、

  合谷(ごうこく)、中極(ちゅうきょく)、支溝(しこう)

 (一寸半(いっすんはん)、此(こ)の穴(けつ)

  脉絶(みゃくぜつ)を和(わ)する穴(けつ)なり)、

  巨厥(こけつ)(三寸三分(さんすんさんぶ))

  氣衝(きしょう)(灸七壯(きゅうしちそう)。『綱目(こうもく)』

 ■現代語訳■


  傷寒により六脈が全て絶えた者には、

  復溜を取る(これを補すれば大に六脈が回復する)、

  合谷、中極、支溝(一寸半、この穴は脈絶を和らげる)、

  巨厥(三寸三分)、気衝(灸七壮)。『綱目』

 ★ 解説★

 「寒」章の灸登場部分、前号に続く14番めの項目です。

 灸が登場しなかったでひとつ飛びましたが、ひとつ前から傷寒の記述が始まっています。ここでは「傷寒六脉倶無」を指標としています。

 灸としては最後に辛うじて気衝に七壮という記述があり、鍼と灸を併用した治療であることが読み取れます。

 ちなみに、原典や影印本からお読みの方はおわかりと思いますが、一番上の原文では文字の大きさゆえ表現できず、断句の文で( )で括っている文字列は、原典では通常の半分の大きさで表記されています。いわば原文の注釈という体裁です。

 読み下し文では読み仮名もカッコで括ってあるのでまたわかりにくいですが、最終的に現代語訳でも、またカッコに括った部分です。

 カッコの中を読むと、列挙された経穴にもそれぞれ持たされた、または期待れた役割があることも読み取れますね。そして、経穴をひとつで用いるのではなく、生薬を組み合わせる処方、または方剤と同様に、経穴を複数で用いることで、ひとつで治療する時とは違った、複合的な作用が期待されていることも読み取れそうです。


 ◆ 編集後記

 「寒」から今号も文章一つでお届けしました。まだ項目がたくさんあると安心していたら、灸の登場はこの部分で終わってしまい、また新しい場所を探さなくてはいけなくなりました(笑)。

 次号はどこを読むかまだ未定ですが、しばらくこうして灸登場部分としてのよもぎを読んでいきたいと考えています。

                     (2017.02.25.第206号)
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?