メルマガ『東医宝鑑(東醫寶鑑)とういほうかん─古典から東洋医学を学ぶ─』第311号「玉露丸」「秘眞丸」 (内景篇・精)

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◇ 東医宝鑑(東醫寶鑑)とういほうかん─古典から東洋医学を学ぶ─ ◆

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第311号

○ 「玉露丸」「秘眞丸」 (内景篇・精)

                      ◆ 原文
      ◆ 断句
      ◆ 読み下し
      ◆ 現代語訳
      ◆ 解説

                      ◆ 編集後記


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こんにちは。「精宜秘密」の具体的な処方の続きにして最後のふたつ、
 「玉露丸」「金鎖丹」です。

◆原文◆(原本の文字組みのままを再現・ただし原本は縦組み
      ・ページ数は底本の影印本のページ数)

(「玉露丸」「金鎖丹」p82 下段・内景篇・精)

玉露丸

                  白龍骨九蒸九曝兎絲子酒製韭子瓦上微
     炒各三兩右爲末蜜丸梧子大空心鹽湯呑
   下十丸初服
   忌房事活人心方

金鎖丹

                  肉〓蓉五兩酒浸搗爲膏破故紙微炒四兩(〓くさかんむり從)
     巴戟去心附子炮各二兩胡桃肉二十箇右
   爲末和〓蓉膏丸如梧子大毎十丸鹽湯或温酒(〓くさかんむり從)
   下食前玉露丸食後金鎖丹服經月雖老弱下元
   不衰永閉精也如欲泄精車
   前子一合煎湯服之妙活人心方

▼断句▼(原文に句読点を挿入、改行は任意)

玉露丸

白龍骨九蒸九曝、兎絲子酒製、韭子瓦上微炒各三兩。

右爲末、蜜丸梧子大、空心、鹽湯呑下十丸、

初服忌房事。活人心方。

金鎖丹

肉〓(くさかんむり從)蓉五兩酒浸搗爲膏、

破故紙微炒四兩、巴戟去心、附子炮各二兩、

胡桃肉二十箇。右爲末、和〓(くさかんむり從)蓉膏、

丸如梧子大、毎十丸、鹽湯或温酒下。食前玉露丸、

食後金鎖丹。服經月、雖老弱、下元不衰、永閉精也。

如欲泄精、車前子一合、煎湯服之妙。活人心方。

●語法・語釈●(主要な、または難解な語句の用法・意味)


▲訓読▲(読み下し)

玉露丸(ぎょくろがん)

白龍骨(はくりゅうこつ)九蒸九曝(くじゅうくばく)し、

兎絲子(としし)酒製(しゅせい)にし、

韭子(きゅうし)瓦上(がじょう)に微(すこ)し炒(い)り

各三兩(かくさんりょう)。

右(みぎ)末(まつ)と爲(な)し、蜜(みつ)にて

梧子(ごし)の大(おほひ)さに丸(まる)め、空心(くうしん)に、

鹽湯(しおゆ)にて呑(の)み下(くだ)すこと十丸(じゅうがん)、

初(はじ)めて服(ふく)するとき房事(ぼうじ)を忌(い)む。

活人心方(かつじんしんほう)。

金鎖丹(きんさたん)

肉〓(くさかんむり從)蓉(にくじゅよう)五兩(ごりょう)

酒(さけ)に浸(ひた)し搗(つ)きて膏(こう)と爲(な)し、

破故紙(ほごし)微(すこ)し炒(い)り四兩(しりょう)、

巴戟(はげき)心(しん)を去(さ)り、

附子(ぶし)炮(ほう)し各二兩(かくにりょう)、

胡桃肉(ことうにく)二十箇(にじゅっこ)。

右(みぎ)末(まつ)と爲(な)し、

〓(くさかんむり從)蓉膏(じゅうようこう)に和(わ)し、

丸(まる)めること梧子(ごし)の大(おほひ)さの如(ごと)くし、

毎(つね)に十丸(じゅうがん)、

鹽湯(しおゆ)或(ある)ひは温酒(おんしゅ)にて下(くだ)す。

食前(しょくぜん)に玉露丸(ぎょくろがん)、

食後(しょくご)に金鎖丹。

服(ふく)して月(つき)を經(ふ)れば、

老弱(ろうじゃく)と雖(いへ)ども、

下元(かげん)衰(おとろへ)ず、

永(なが)く精(せい)を閉(とづ)るなり。

如(も)し精(せい)を泄(せっ)せんと欲(ほっ)せば、

車前子(しゃぜんし)一合(いちごう)、

湯(ゆ)に煎(せん)じてこれを服(ふく)して妙(みょう)なり。

活人心方(かつじんしんほう)。

■現代語訳■

玉露丸

白龍骨を九度蒸し、九度曝し、兎絲子を酒製にし、

韭子は瓦の上で少し炒り、各三両。

以上を粉末にし、蜜で青桐の種の大きさに丸め、

空腹時に塩湯で十丸を服用する。

初めて服用する時には房事を行ってはならない。

『活人心方』

金鎖丹

肉〓(くさかんむり從)蓉五両を酒に浸し、搗いて膏を作り、

破故紙は少し炒る、四両、巴戟は芯を除去し、

附子は炮する。各二両。胡桃肉二十個。

以上を粉末にし、〓(くさかんむり從)蓉の膏に混ぜ、

青桐の種の大きさに丸め、常に十丸を塩湯あるいは

温酒にて服用する。

食前に玉露丸、食後に金鎖丹をひと月服用すれば、

老人や虚弱の者でも下焦の元気は衰えず、

長く精を閉じることができる。

もし精を発したい時には、車前子を一合、

煎じて服用すれば効果がある。

『活人心方』

★ 解説 ★

「精宜秘密」の処方、5つのうち最後のふたつ、「玉露丸」「金鎖丹」です。

ここには効用が説いていませんが、今までの流れから類推できますね。
 またこれら処方が挙げられた時にもまず説かれていたのでした。

ふたつめの金鎖丹の最後に興味深いことが説いてあり、「永閉精也」の後に、「如欲泄精、車前子一合、煎湯服之妙。」とあります。
 
 つまり、「閉精」、精を漏らすことがなくなる効用があるのですが、万一漏らしたい都合が出た場合のフォローもちゃんと考察があり、また実際の方法も挙げられているという点が興味深いと思います。

◆ 編集後記

「精宜秘密」の処方、最後のふたつです。次号は次の項目「節慾儲精」です。文が長いのでいくつかに分けて読む予定です。

                                            (2019.04.06.第311号)
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