メルマガ『東医宝鑑(東醫寶鑑)とういほうかん─古典から東洋医学を学ぶ─』第129号「陰虚用藥」の処方「補天大造丸」他 ─「虚労」章の通し読み ─

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 ◇ 東医宝鑑(東醫寶鑑)とういほうかん─古典から東洋医学を学ぶ─ ◆


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  第129号

    ○ 「陰虚用藥」の処方「補天大造丸」他
      ─「虚労」章の通し読み ─

◆ 原文
      ◆ 断句
      ◆ 読み下し
      ◆ 現代語訳
      ◆ 解説 
      ◆ 編集後記

           

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 こんにちは。「虚労」章の通し読み、「陰虚用藥」の処方が続きます。


 ◆原文◆(原本の文字組みのままを再現・ただし原本は縦組み
      ・ページ数は底本の影印本のページ数)


 (「虚勞治法」 p446 上段・雜病篇 虚勞)


 補天大造丸

  壯陽光、滋腎水、爲天地安泰。

  若虚勞之人、房室過度、五心煩熱、服之神效。

  久服、延年益壽。紫河車一具、照前法蒸。

  熟地黄、當歸酒洗、茴香酒炒、黄栢酒炒、白朮炒各二兩。

  生乾地黄酒炒、天門冬、麥門冬、牛膝酒洗、杜仲炒各一兩半。

  枸杞子、五味子各七錢。陳皮、乾薑各二錢。

  側栢葉向東枝者焙二兩。右爲末、入河車共擣、

  衆手爲丸梧子大、米飮或温酒任下百丸、日再服。『回春』


 入門大造丸

  治氣血虚弱、陽物僅具形迹、面色萎黄、並大病後不能作呼喚聲。

  久服耳目聰明、鬚髮皆黒、延年益壽。

  紫河車一具、照前法蒸。熟生地黄二兩半、用白茯苓二兩。

  縮砂六錢、三物以紗絹包之、入磁缸内酒煮乾、再添酒煮七次、

  取出去砂苓不用。盖地黄得砂仁茯苓則入腎經故也。

  材料劑服法與上大造丸同。『入門』


 ●語法・語(字)釈●(主要な、または難解な語(字)句の用法・意味)


  特になし


 ▲訓読▲(読み下し)


 補天大造丸

  陽光を壯にし、腎水を滋して、天地安泰を爲す。

  虚勞の人、房室過度、五心煩熱の若きは、これを服して神效あり。

  久しく服すれば、年を延し壽を益す。紫河車一具、前法を照らして蒸し、

  熟地黄、當歸酒洗し、茴香酒炒し、黄栢酒炒し、白朮炒り各二兩。

  生乾地黄酒炒し、天門冬、麥門冬、牛膝酒洗し、杜仲炒り各一兩半。

  枸杞子、五味子各七錢。陳皮、乾薑各二錢。

  側栢葉東に向かう枝なる者の焙二兩。右末と爲し、河車を入れて共に擣き、

  衆手にて丸と爲すこと梧子の大さ、米飮或は温酒任せ下すこと百丸、

  日々に再び服す。『回春』


 入門大造丸

  氣血虚弱、陽物僅に形迹を具へ、面色萎黄、

  並に大病の後呼喚の聲を作すこと能はざるを治す。

  久しく服すれば耳目聰明に、鬚髮皆な黒く、年を延し壽を益す。

  紫河車一具、前法を照らして蒸し、熟生地黄二兩半、白茯苓二兩。

  縮砂六錢を用ひ、三物紗絹を以てこれを包み、磁缸内に入れ酒にて煮乾し、

  再び酒を添て煮ること七次にして、

  取り出し砂苓を去りて用ひず。盖し地黄、

  砂仁茯苓を得るときは則ち腎經に入る故なり。

  材料劑服法は上の大造丸と同じ。『入門』


 ■現代語訳■


 補天大造丸(ほてんだいぞうがん)

  陽気を壮んにし、腎水を滋して陰陽を安定させる。

  虚労証のうちで房事過多、五心煩熱の者は、これを服すれば神效がある。

  長く服用すれば寿命を延ばす。紫河車一具、前述の方法で蒸し、

  熟地黄、酒で洗った当帰と茴香と黄栢、炒った白朮各二両。

  酒炒した生地黄・乾地黄、天門冬、麦門冬、酒で洗った牛膝、

  炒った杜仲、各一両半。

  枸杞子、五味子各七銭。陳皮、乾姜各二銭。

  東に向かっって生える枝の側栢葉を焙ったもの二両。

  以上を粉末にし、河車を入れて共に擣き、

  多数の者によって梧桐の種の大きさに丸め、

  重湯または温酒で百丸を1日に2度服用する。『回春』


 入門大造丸(にゅうもんだいぞうがん)

  気血虚弱、陰茎がわずかに形を留めるがごとく縮小し、

  顔色が萎びて黄色の者、また大病の後に声が出ない症状を治する。

  久しく服すれば耳目聡明、髭や頭髪が黒くなり、長寿をもたらす。

  紫河車一具、前述の方法で蒸し、熟生地黄二両半、白茯苓二両。

  縮砂六銭、この三種を絹の袋で包み磁器の瓶に入れ酒で煮て、

  酒が無くなれば再び酒を加えること七回繰り返したら、

  取り出して縮砂と白茯苓を除く。

  地黄は縮砂と茯苓と合わさると腎経に入るために用いるのである。

  材料、服法は上の大造丸と同じである。『入門』


 
 ★解説★
 
 さらに「陰虚用藥」の処方、前号の「大造丸(だいぞうがん)」に準拠した
 バリエーションです。大造丸と同じ紫河車を主体とし、それに付随させて他
 の生薬で別の効用を加味させた処方と見てよいでしょう。これも何が加味さ
 て何を抜いたのか、などを検討することでそれぞれの処方の特徴を把握する
 ことができます。

 陰虚用藥で挙げられた19の処方のうち、ようやく13を取り上げましたが、ま
 だ6つも残っています。既に書きましたようにいかにこの「陰虚」の治療が
 重んじられたかがよくわかります。

 以前触れたように、先行の東医宝鑑の日本語訳本ではこの処方の項は記載が
 あるのですが、内容を検討すると要所要所省略や誤訳があります。特に省略
 は原文の読みにくいところはほとんどスルーしてしまっておりその部分を比
 較検討する参考にならないのが実情です。詳細は触れ得ませんので、訳本を
 お持ちの方はどこに省略があるのか、メルマガの原文はじめ訓読、訳までを
 ご覧いただき訳本を補充してくださればと思います。


 ◆ 編集後記

 処方の列挙がまだまだ続きます。あと6つですのでひとまず3つずつ2回で配
 信し、処方の羅列が続いたのでその後は息抜きに何かコラムをお届けしよう
 と考えています。

                     (2015.06.27.第129号)
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  ◇ 東医宝鑑(東醫寶鑑)とういほうかん─古典から東洋医学を学ぶ─ ◆
         発行者 東医宝鑑.com touyihoukan@gmail.com

      
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