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エレベータの中と外:一般相対論/原理の導入

前回まででとりあえず特殊相対論について話したいことは区切りがついた.多分忘れていることがあると思うが思い出したら引き返そうと思う.

今回から一般相対論の話をしようと思う.特殊に対して一般と聞くと簡単に聞こえるが,実際計算が死ぬほど面倒なだけでやりたいことはめちゃめちゃ簡単である.計算が死ぬほど面倒なのだが.

物理の新しい理論を導入するときは,既存の理論が適用できない現象を目の当たりにする必要がある.のだが話の流れ的に,色々片付いてから一般相対論にできることとして並べていこうと思う.

特殊と一般

特殊相対論では次の原理から出発したのである.
・どの慣性系(一定の速度で運動する座標)から見ても物理法則は同じ
・どの慣性系からでも光速cは一定(光速度不変)

では一般相対論は
・どの系(運動する座標)から見ても物理法則は同じ
・どの局所慣性系からでも光速cは一定(光速度不変)

何が変わったかといえば,相対性原理:物理法則は誰が見ても同じという主張が特殊相対論では慣性系:等速で移動する系に限定されていたのに対して,一般相対論ではどんな系でも同じたれというのである.正直とんでもないことを言っている.

光速度不変は"局所"とついているが基本的に変わらない.局所慣性系ってのはなんやねんというのはいずれ説明するとしよう.

別の系で見える何か

おもむろに高層ビルにあるエレベータに乗ろう.最上階で景色でも楽しんでくれ.満足したら下りのエレベータに乗ってくれまいか.

乗っただろうか.実はそのエレベータは整備不良なのだ.ワイヤが切れた.こんなことは絶対起こらないがまぁ物理屋さんの頭の中なのでまぁ許してくれ.

ワイヤの切れたエレベータの箱は地球に引かれて落ちて行く.これを二人が見ていたとしよう.一人はあなた.エレベータの箱の中から.もう一人はエレベータの外の地上から.二人の関係はなんでもいい.彼氏彼女でも家族でも赤の他人でも.どうせあなたはエレベータに落ちて死ぬのだ.死ぬときでも物理のことを考える酔狂なのだ.

閑話休題.あなたはエレベータの中.地球に引かれて落ちるエレベータの中は無重力状態になる.ワイヤが切れていなくてもエレベータが下がりはじめる時にふわっと体が軽くなるあれが極まれば無重力状態になるのだ.かたや地上にいるあなたのツレはしっかり重力を感じる.

一般相対性原理が言うのは,この二人が見える物理法則が同じだと言っているのだ.エレベータの中であなたはボールをふと離す.無重力状態だからボールは中に浮く.かたやツレはボールは落ちているように見える.このボールの運動を記述する物理法則が同じだと言っているのだ.

割とやばいことを言っていると思う.

まとめ

・物理法則の相対性を慣性系にいる観測者から一般の観測者に拡張した
・例えば落ちる人とそれを地上で見ている人の物理法則が同じになる

これを受け入れるとどうなるか,それは次回に残しておこう.


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