個別に回る:お話物理:場の量子論

前回は,複素スカラー場の理論が,複素場の回転によって理論として不変なのを見た.つまりこれは,"時空の全体の実数軸"を誰がどう決めても良いということだった.

この時空全体を一緒に変えても理論が不変なことを,大域的な対称性を言う.しかし,人間を含めた観測者は時空の全部を観測しているわけではない.僕らの人生で動ける範囲など,時間的にも空間的にも限られている.

物理が"どんな観測者から見ても同じ"理論であるためには,時空の全体を同時に変換する大域的な対称性だけでなく,時空の各点が独立に変換する局所的な対称性が必要だ.

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つまり場の理論は,時空の各点各点で何を実数にするかを自由に決めて良い理論であるべきなのだ.言い換えれば僕もあなたも,どこにいても好きな実数軸を使って良いと言うことだ.

じゃぁ理想を掲げて,局所的な理論を作ろうとしよう.ただしいまある場の理論をそのまま局所的な理論にしてもうまくいかない.

局所的な複素回転は,回転を表すパラメタ"θ"がただの定数から時空の各点で値を変える"θ(x)"になると言うことだ.するとラグランジアンの微分項からお釣りが出る.

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本来場を微分したかった微分が,変換パラメタ"θ"を微分してしまっているのだ.

次回はこの不具合をどう修正するか,考えて行こう.

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