重力とおなじ:お話物理:場の量子論

前回,共変微分に必要な"A"というベクトル場の物理的な意味について話をした."A"は時空の各点とそのお隣さんで"どれだけ実数の基準がねじれているか"を表す量だった.

画像3

今回は理論を指定するラグランジアンに入れられる,形として曲率

画像1

を導入した.時空の一点の情報から,その周りでどれだけ実数軸がヨレているかを表す量だ.

実はこれは,重力の理論である一般相対論と同じ構造をしている.

一般相対論は,ざっくりいってしまうと,重力の効果を全部空間の"歪み"に置き換えてしまう理論だ.重力に引っ張られて曲がる様を,ただ空間が歪んでいるから曲がって見えるように世界の見方を変えるのだ.

一般相対論で重要なのは時空の各点で"長さ"を決めるものさしである"計量"だった.時空の各点でものさしが決まっていて,そのものさしの歪みがそのまま時空の歪みになるのだ.

そのものさしの歪みが時空の各点とその隣でどう変わっているかを表す量が"接続"と呼ばれる量だ.接続"Γ"は

画像2

共変微分"∇"の中に上のように出てくるのだった.

同じ共変微分と呼ばれるだけあって,場の理論の共変微分"D"と一般相対論の共変微分"∇"は似た形をしている.というか場の理論のゲージ場"A"と一般相対論の接続"Γ"は同じ現れ方をしている.

実は数学的には全く同じ論理で構成されているのだ.

場の理論のゲージ場"A"はお隣との実数軸のヨレを,一般相対論の接続"Γ"はお隣とのものさしの歪みを表しているのだ.

実は,数学的に見れば同じ理論なのだ.

最後まで読んでいただきありがとうございます. 見ていただくだけでなく,"スキ",コメント励みになります. サポートいただければとても助かります/noblesse oblige(煽り)