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イかれた出張パーツ、超重武者はガチ対戦でもやれるのか(環境考察)

前回までのあらすじ。超重武者の新規が1枚からものすごい勢いで展開してきた。

今回は大会でこれらの出張パーツが実際に使われる可能性はあるのか、ということについての考察をしようと思う。

結論から言ってしまえば、現段階でこのカードが覇権を取る可能性、つまり少し前に流行った「なんでもデスフェニ」「なんでも勇者」のような出張パーツには成り得ないだろう。
まず、このコンボの長所は2つ。「展開する為に必要なカードが1枚で済み、かつサーチ手段が2種類ある(うち一種類は前回紹介しなかったイワトオシ、召喚権が必要)ため、都合デッキの1/4が初動に成り得る」「簡単にレベル8シンクロが立てられるため、デッキによっては中核を担うモンスターがポンと出てくる」
この2点を活かせるデッキが現在の環境、ひいては過去の環境テーマに多いかと言われると…実はあまり多くない。
いや、厳密には過去環境に居たテーマでそのポテンシャルを秘めているデッキは数多く存在すると思う。シンクロデッキ自体、バロネスという初動最強のカードがある点等、このカードを採用して展開力を強める価値はある。
ただ、それらのデッキは多くが既にテーマ内に展開ギミックを複数搭載しており、出張パーツが些か過剰になってしまうことが多くなるだろう。そもそも現在の環境はデッキ内のギミックを最小に留め、誘発を多く採用することが主流となっている。
うらら増Gは当たり前として他にもうさぎ、わらし、ヴェーラー、夢幻泡影等々、挙げていけばキリがない。
直近の大会で話題に挙がるデッキで見ても鉄獣、スプライト(リチュア)、ティアラメンツといったデッキはいずれもギミックそのものがコンパクトであり、誘発の搭載数を増やしながらもデッキそのものが動かないことを減らすギリギリのラインを攻めたデッキが多い。
それらの誘発を減らして出張パーツを増やすメリットは通常のデッキでは考えにくい。そもそも、勇者セットですら必要枚数の多さが懸念点であったことを考えると、素引きしたくないカードが2枚ある上に初動にのみに使うことが多い超重武者セットは安易な採用はかなり難しい。
前述した誘発に対して軒並み弱いのもあるので、出張パーツをメインに据えるのもあまり得策とは言えない。

無論、これらのデメリットが気にならなかったり、得られるリターンの大きいデッキもある。
・初動で決着がつきやすく、手数の一つとして想定できる高速型のGS
・フルモンを前提としており、2ターン目以降も使用できる雪花カグヤ
・ペンデュラムの択として想定できる竜剣士
他にもあると思うが、僕が思いつくのはこの辺りだろうか。いずれも高速、後攻1キルに寄せた構築である点は出張セットのコンセプトにもあっていると言えるだろう。これらのデッキ、もしくは似たような要素を持っているデッキでは採用するだけのリターンが強く、非常に強力な手数に成り得る。

最後に厳密には出張セットでは無いのだが、バーンによる先行ワンキルについて。現在有識者の間で超重武者を使った先行ワンキルのルートが続々と開発されているのだが、これも環境を脅かすことにはならないだろうと僕は踏んでいる。
前述した通りワカ-U4からの展開ルートは誘発に弱いため何かしらの手段で誘発をあらかじめ打たせる必要がある。だが、ワンキルを狙うデッキは過去の環境デッキを見ても基本的にはそれに特化した構築になるため、いざ止められた時に打てる手が無くなってしまう。
はっきり言えば、超重武者というテーマをビートダウンとして考えると環境デッキに追いつけるほどのパワーは無く、逃げ道はほぼ無いと言っていい。また、マッチ戦ではサイドから二ビル、ドロールといった致命的な対策札が入ってくるため、成功率は更に下がる。それらを乗り越えて安定して勝利を拾うのは不可能に近いため、小規模大会での優勝はあってもこれによって先行ワンキルが飛び交うゲームにはならないと考えて問題ないだろう。

総評。初動1枚、召喚権無しという非常に印象に残る今回の出張セットは非常に強力ではある。ただし、一昨年の勇者ギミックでのやらかしから開発側が掛けたデメリットも相応に重く、それゆえに良く調整されていると言える。
環境で考えた場合はそのデメリットを超えたリターンが得られる高速型やワンキル等であれば採用する価値もあり、どんなデッキでも入るわけでは無い分非常に強力な手となる可能性も秘めている、といったところだろうか。
無論これは現在の環境上位層を見ての考察であり、幅広い展開によってポテンシャルが伸びる環境中堅~下位のデッキも多く存在するだろう。カジュアルも含めて、様々なデッキタイプが横並びに増えていくのは遊戯王、ひいてはTCGというゲームジャンルの醍醐味である。そういったデッキが今後増えることに期待したい。


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