新築建売 攻略編:家の購入記14
今までは中古と新築、両方の話をしてきたけれど、新築建売に限っては、また違うところがあるので、それをすべて一気に書いていきたい。
ちなみに新築注文住宅は土地値割合が低いのが原因で候補に入れていない。
新築建売の値付けと値下げ傾向
相手の事情を知る
中古や、新築でも注文住宅と違って、新築の建売のビジネスは、規模が大きくなればなるほど、「家(マイホーム)」というよりも「物販」という感じになる。
つまり、売っているものが家なだけで、ビジネスとしては、物販と同じ。
原材料を一定のモノにして、たくさん仕入れることで安く仕入れ、同じような規格・デザインのものをたくさん作り、たくさん販売することで、安価な住宅を提供できる。
パワービルダーは、新築建売業界のユニクロというような印象。
実に素晴らしいと思う。
その中で、ひとつ僕らが知っておかなくてはいけないのは、
彼らは、お金を借りて、建物を建てている。
借りれるお金には限界がある。だから、その借りれるお金を一年で何回、回転させられるか?で売上が決まる。
つまり、「資金を早く回転させる」というのが、ひとつのキモになっている。
それなら、土地を仕入れて、建物を建てて売るまで・・・をなるべく短くし、せめて、一年に2回くらいは繰り返したいと彼らは思っている。
だから、売れない物件があった場合、1年とか持っているよりも、売ってしまって、お金として回収したい。
そのお金で早く、他の新たな家を作って、売りたい。
ということ。
これがパワービルダーではなく、普通の建売業者だと、1年に1回転すればOKくらいな感じなので、1年は粘ることになる。
これが分かっていれば、下のような値下げのリズムが分かってくる。
値付けと値下げのタイミング
上で述べたように、これはパワービルダーの場合で、そうではない場合、もっと値下げ間隔は延びる。
だけども、抱えている事情は同じ。
土地の段階で売り出す・・・これが一番高く、この時点で売りたいと思っている。
建物完成後に価格改定をする。
完成後は反響状況を見ながら、1ヶ月〜2ヶ月ごとに値下げを考える
決算期や市況などによっては、4、5ヶ月放置されるケースもある。
3ヶ月を過ぎると、「売れ残り」という認識になる。
引き合いを見ながら、1ヶ月ごとに価格を見直していく。
ただ、様々な状況による
売上達成の状況・・・今期の売上が充分な場合は値下げしないこともある。逆に値上げする場合すらある。
決算期が遠くなれば、値下げしないこともある。
逆に、決算期が近い場合で、売上が欲しい場合は、2週間ごとに見直しが入る場合がある。
築浅中古物件よりも安い値付けになると、当然、申込みが殺到し、そこで誰かに買われて終わり。
といったような感じ。
指値よりも自分で下げたいと思っているような感じ
中古などだと、
この値段で出しておいて、買付申し込みが入ったら、それに応じて、値下げを考える
内見申し込みなどの引き合いが全くない場合は、出している値段の値下げを考える
というような印象だったけど、新築の建売は、おそらく、データを見ながらやっているからだと思うけど、
データに応じて、「自分たちで」値段を下げていく。
途中の指値には応じない。
指値に応じる時は、すでに値下げを考えている時などに限る。
という印象を受けた。
実際に僕が聞いた時でも、仲介業者(新築建売は仲介業者が入る。だから、仲介手数料もかかる)は、
「聞いてみますけれど、お客さんからの値下げは応じないでくれ、と言われているんですよね」
というのを何社からか聞いた。
ただ、実際はその後、その物件で値下げが行われたし、指値交渉もできた。
だから、「自分たちのタイミング」で値下げをしたいのだという印象を受けた。
タイミング的にチャンスのとき
以下のときは特別チャンスのよう。
だけど、その場合も各社の売上状況により、様々らしい。
また各社、もしくは、同じグループでも子会社ごとに、現場への権限のもたせ方が違うので、価格交渉のしやすさは微妙に異なるらしい。
が、いずれにしても、チャンスは以下の通り。
決算期3月・・・「下がる前に指値する。下がってからでは申込みが殺到してしまう」
12月終わりから2月あたまくらいまで・・・3月末までの決済なので、3月一週目までに契約しないと間に合わないから、このくらいがリミット
2月半ばを過ぎると、決算に向けての価格改定はほとんど無くなる。
これを過ぎると、来期に向けての動きになる。
売上が足りていると、逆に値上げをしたり、決済日をずらして、来期の売上にしてほしいと言われたりもするらしい。
大きな分譲地の最後の一棟
現場ごとに採算を計算するので、他の棟で利益が出ているなら、「ここはもういいや」と見切り売りをする可能性がある。
完成から3ヶ月経過した頃合い
3ヶ月過ぎると「売れ残り」と判断するので、指値が通るかもしれない。
リーマンショックやコロナ後の建売不況のような市況が悪い時
値引き交渉できないとき
逆に以下のような場合は望み薄らしい。
売り出し直後
価格が下がったばかりのとき
自分からは下げるけど、指値は嫌がる
市況
市況がいいときは、当然、下げなくても売れるから、値下げはない。
パワービルダーは、オプションなどが別会社だったりもするので、「オプションをつける代わりに値下げをお願いする」というのも、あまり効果がないと聞く。
でも、実際はあるというか、「指値されたら、オプションをつけろ」というような感じなので、順序は逆なのかもしれないけど、あるっちゃある。
新築の値下げ幅
そもそも論として、新築は100万以内の値下げ交渉となる・・・らしい。
それ以上の場合、特に物件の3%を超える値段交渉の場合、担当者レベルで断られる可能性が高いという。
ただ、僕の場合では、仲介担当の人が3%以上の値下げを提案してくれたりしたので、実際のところは分からない。
おそらく、その物件の反響状況によるのだろう。
要はビジネス。
会社の売上状況やその物件のデータを見て、淡々と判断するというビジネスライクな印象を受けた。
値下げ交渉の難しいところ
ここまで見てくると、もう勝った気になってしまったりするけれども、問題は、上の各段階で、「いつ、他人に買われてしまうか?」分からないこと。
いい物件は最初の土地の段階、つまり、一番値付けが高い段階で売れてしまうことだってあるし、コロナの時期は、ほとんどがそうだったらしい。
値下げを待っている間に売れる。
いい物件ほどそうだ。
逆に、完成後、3ヶ月間経って、売れ残り判定をされた物件を値下がりされるまで待って買おうかなと思ったら、今度は、「なんで3ヶ月も売れなかったんだろう・・・」という疑問が出てくる。
なにか問題があって、みんな買わないんじゃないか?と。
じゃあ、自分が売る時、困るんじゃないか?と。
最後の最後、築浅の中古物件と同じか、それ以下の価格付けになったら、問題が何であれ「さすがに買おう」と思っていても、その場合は秒速で売れてしまう。
それに、前から迷っている人に「◯円ならどうです?」なんていう案内が先に行く可能性だってある。
だから、上記を分かっていても難しい。
自分で常に仕掛けていかないといけないし、買えるか買えないか?は運の要素もあると考え、「買えなくてもいい」と態度で交渉しないといけない。
が、絶対にここしかないと思うなら、ある程度高くても、買い付けを入れるしかない。
一応、その場合もダメ元で指値はする。
新築重点チェック箇所
もちろん、接道とかはちゃんと見なくてはいけないけれど、新築の場合、中古よりも建物に関しては、リラックスして見られる。
だけど、新築でも気をつけないといけないところがあるので、新築の場合、重点チェックポイントを設けていた。
性能
大手だったら、ほぼ確実に、何らかの性能を謳ってくれている。
耐震性や断熱性などを数値化して基準を示してくれているし、第三者の検査を受けたりしてくれている。
だから、その内容をチェックしておく。
税の優遇を受けたり、地震保険を半額にできたりするし、今後の資産価値にも影響がでる可能性もあるし、性能がいい方が住みやすい上に安心だろう。
エリアや接道、価格など、様々な面を見ていると、「性能」という観点を見逃してしまいがちになる。
だから、ちゃんと見ておく。
建物のチェックポイント
これは先日も多少書いたけれども、新築の場合は以下を見ておく。
戸建ての上モノは一人の大工さんが担当することが多いらしいから、その大工さんの腕によって、かなり左右される。
だから、その大工さんの腕が出るところをチェックする。
建具の収まり・・・隙間が空いていたり、きちんと隅があっていない場合などは雑な大工さんの可能性がある。
玄関の上がり框の端っこや、階段の端、巾木のつなぎ目などの端っこ部分
フローリングやサッシのつなぎ目部分やビス・釘
床下点検口から基礎を見て、断熱材がちゃんと固定されていなかったり、下が濡れていたりしないか?
基礎の湿気は含水量15%程度が基準らしいけど、実際は測れないから濡れていないか?だけチェックする。
これらが雑な場合は、見えない部分も雑な場合があるので、やめるか、どうしても欲しい場合はホームインスペクションを入れる。
まとめ
あとは他の中古戸建てと一緒。
でも、新築の方がはるかにチェックはラクだし、ビジネスライクなので値下げ交渉もやりやすかった。
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