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ここ数十年で会社員の手取りが減っている件について①

ネットでのお金系の投稿で良く見る1つに、「ここ数十年で会社員の手取りが大きく減っている」というものがあります。例えば以下のようなものです。

https://dw.diamond.ne.jp/articles/-/29909

これ自身は紛れもない事実ですし、ネット記事は内容についてしっかり書かれているものは多いのですが、言葉足らずになりがちなSNSではこれらを見せながら、「日本がやばい」「現役世代や若者がより損をしている」「会社員は辞めた方がいい」「(脱税スレスレまで)節税をしよう」などのメッセージが垂れ流されています。これについて、何とも言えない違和感があります。

会社員・サラリーマンの同年収での手取り額は下がっていますが、それをもって20〜30年前の会社員や日本社会が今より幸せであったかといったら、違うと思うからです。例えば、以下の3つが挙げられます。

①30年前の会社員を取り巻く環境はかなり劣悪だった

②この30年で社会保障・福祉は大きく前進した

③そもそも人生の選択肢は会社員だけではない

一つずつ見ていきましょう。

①30年前の会社員を取り巻く環境はかなり劣悪だった


例えば、30年前の当時、若手は朝一番の出社が当たり前、夜も当然のようにサービス残業、上司が帰るまではピアプレッシャーでほぼ絶対に帰れませんでした。時給にしたら酷いものだったように思います。

職場はパワハラ、セクハラ、ノミハラ、モクハラなどあらゆるハラスメントだらけ、都会では通勤ラッシュは今よりもかなり酷く、在宅勤務のオプションはもちろんありません。夏場でもネクタイはマストで、クールビズの開襟シャツなどは許されません。非合理甚だしい社会でした。

会社では副業は絶対に禁止で、会社に骨を埋める姿勢を見せ続けないといけません。業務に直結しない勉強などは、転職すると思われたり、不誠実だと考えられ嫌がらせを受けたものです。

保育所は今よりかなり数が少なく、制度も整っていませんでした。子供ができたら両親のどちらかは退職が当たり前で、共働きはかなり厳しい時代でした(特に元気な祖父母が近くにいない人は、そうでした)

また、資産形成という側面でも、ネット証券もまだなかったので個人の資産運用はまともにできませんでした。土日は金融機関店舗は閉まっていますので、仕事中の昼間にわざわざ有給をとらなければ、投資信託を買ったりなどはできません。というか、有給を取るという行動も、社会的に今よりもかなり制限されていました。NISAやiDeCo、パッシブファンドも当然ありませんでした。

結論、僕なら手取りが減っていてたとしても、迷いなく30年前でなく2024年を選ぶと思います。

②この30年で社会保障・福祉は大きく前進した


手取りの額が減っているのは、税金や社会保険料が増えているからですが、その裏側で日本の社会保障・福祉はかなり大きく前進しています(保育所など一部、上にも書きましたけども)

これは私の家族の実体験ですが、例えば、30年前はうつ病という病名も、その社会認知もありませんでした。かかった人は、ただ怠け者である、酷い時には根性が腐っていると言われ、本当に可哀そうでした。また、世界的に人口の10%超と言われる障害者は、家族でかくまって蓋をする風潮でした。

他に、子供の世話、高齢者の介護まで含めて、社会生活を送る上でハンディを負った人々の面倒は、それを負担する家庭に、そして特に女性に押し付けられていました。

皆の手取りが今より数十万円高い変わりに、今より厳しい境遇にあった個人や家族がかなり存在したと思います。直近でも、いわゆる、社会的弱者と言われる方は、以下のスライドの通り、かなりいます。

そして、これらのケアに対する負担は、家族(特に女性)から社会へ相当に推進されてきました。

介護保険ができ、老人ホーム、保育所、障害者施設などは激増しました。

上記、数字を集めている時期は違いますが、老人福祉のキャパは2倍、保育福祉は1.5倍、障害者福祉は3倍に増えています。もちろん、まだまだ改善の余地はありますが、明らかな大きな進歩を遂げているのです。

この視点においても、僕なら迷いなく30年前でなく2024年を選びます。子供と老人と障害者の世話を、その家庭と女性に押し付ける30年前よりも、手取りが数十万円減って社会で負担する現在の方が、健全と思うからです。

次回へ続く。

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