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日本の公的年金への誤解を書き出してみた①

先日、社内の勉強会で公的年金について議論をしました。我々全員が関係している公的年金について、きちんと知っておくためです。また、公的年金を踏まえて自分の家計やお金の運用などを考えていくことは、多くの人の資産形成において極めて大切です。

我々は学校などで公的年金制度の趣旨や仕組みをよく教えてもらえないまま社会人になり、その後、突然に天引きや納付が始まります。よって基本的な知識が不足がしている人が殆どだと思います。ただ、学校が教えてくれないからと言い訳していても何も始まりませんので、会社の中で自分達で学ぼうという勉強会でした。

年金制度が何となく不安。。多くの人がそう思っていると思います。現役世代がシニア世代を支える仕組みですので、少子高齢化の中で漠然とは不安になりますよね。また、健康保険や介護保険などを含めると結構な額が天引されていますし、2007年には年金記録のずさんさが明るみになったこともあります(その後、年金ネットが充実し、社内でもそれなりの割合の人が定期に確認をしていました)。

また、公的年金に関しての報道は、ネガティブサイドがとても多いと思います。イメージ、9割ネガティブ、1割ポジティブではないかと思うぐらいです。いや、もっとネガティブ寄りかもしれません。政治では、野党側は「抜本的な社会保障改革が必要である」と現在の制度を名指しして常に与党を叩きます。老後の資金として個人も関心が高いトピックであり、メディアやSNSでもビューを取るための、切り取り報道や感情的なタイトルの記事も垂れ流しされています。結果、私自身も不安にさせられることが多かったのですが、少し調べてみると杞憂であることが殆どでした。現在では腹落ちをしていますし、気持ちとしては自ら進んで納付をしています。

社内で勉強会をしていて、多くの人が不安を抱えているとは思っていましたが、「日本の公的年金制度は破綻して当然ですよね」「特に若い人は将来は公的年金を1円ももらえないのですよね」という声が普通に上がる状況には、少々、驚きました。そんな訳ないだろうと。。。

もちろん、日本が大地震に見舞われたり、大きな戦争や疫病が発生したりという異常事態があれば、年金どころか我々には何も保証もありません。ただ、合理的な人口・社会・経済の状況を想定する限り、日本の公的年金は非常によく練られた制度であり、多くの不安は間違った情報や整理からの誤解が多いと思いますので、それに対する私の意見を書いておきたいと思います。

・誤解①:公的年金制度はサステイナブルではない?

これについての私の不安は、2004年の改正時でほぼ消えています。2000年代前半、その当時は20代の社会人で新聞などを毎日見ながら「こりゃやばいなぁ」と思っていましたが、2004年の改正が決まった時点でその不安は一気に消えました。改正の内容は以下のような感じです。

①厚生年金保険料の労使折半の掛け目の上限が決められたこと(当時はまだ上昇中でしたが)
②全体として現役世代の所得代替率を年金額とする設計が決まったこと(50%以上目安)
③物価や賃金に応じて年金額を調整するマクロ経済スライドが入ったこと
④積立金を独自に運用する機関への道筋が立てられたこと(今のGPIF)
⑤5年に一度の制度の点検・報告が義務付けられたこと

この制度は政府から100年安心と発表されましたが、当時の私もそう思いました。公的年金というフローで何十兆円、ストックで何百兆円ある巨大でしがらみの多い仕組みを動かすために、これ以上の制度は難しいだろうなと、やや感動したかもしれません。何とも言えぬ将来不安が一気に消えたのを覚えていますし、2007年に消えた年金記録問題がニュースになったときも、特に不安にはなりませんでした。

さらに抜本的に改革すべきという意見は当然ありますし、全くその通りというか、これから向き合うべきですが、今の制度自体が劣悪でありサステイナブルでないという理解は明らかに間違いだと思っています。ただ、、実際は誤解している人(特にうちの会社にいるような若い人)はかなり多いのが現実と思います。

次回に続く。

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