見出し画像

2024年「世界幸福度ランキング」とカラッカラな人生

先日、世界の幸福な国についての話を聞く機会があり、今日はハピネス論について書いてみます。私、幸福をテーマとした話はとても好きです。個人的に大事にしていることは「自分の幸せは自分で決める」こと。具体で言うと「お金、肩書、見た目の人と比べ易い3つに幸せを求めない」ことです。

古くは宗教が人々の幸福に強く関わっていて、それを引き上げた宗教は人類の大発明といえると思います(お祈りすること=自分を救う、という概念にまで落とし込んだのは本当に凄いと思います)。自然科学が発達した現代において、宗教はかつてのように鵜呑みにはされなくなりましたが、幸福は脳科学の面からのアプローチも進み、最近ではオキシトシンやセロトニンなどの言葉は非常によく聞くようになりました。自分の行動を見ていても「これはアドレナリン出るヤツだな」とか、「今、ドーパミンがドバドバ出てるな」とか、神経伝達物質リテラシーも上がってきているように思います。また、瞑想、座禅、マインドフルネスなど、デジタルデトックスも兼ねて、幸福になるためのスキルや習慣を日常生活に取り込んでいられれる方も多いのではと思います。教育の現場でも幸福論は大事になっていると思います。知識を伝えるのではなく、自分の人生の選択を決めるキャリア教育では、自分の価値観に向き合います。僕が行っているお金の教育の中でも、幸福論が必ず関連してきます。

さて世界にはいくつかの国別幸福度ランキングがありますが、以下の調査が一番有名なので、今日はこれを解説します。この手の統計は複数ある方が社会の幸福リテラシーは高まるともうので、調査は大変と思いますが調査機関さんは是非とも頑張ってほしいです。

<World Happiness Report:世界幸福度調査>

昨月に2024年のスコアが出ていました。過去は、国際連合の「持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(SDSN)が算出していましたが、今年からはオックスフォード大学にその権利が移っているよう(Wellbeing Research Centre at the University of Oxford)。あるサイトのインフォグラフィックスが分かり易かったので使わせてもらいますが、こんな感じの分析です。

出所:https://fijianwalker.com/happiness-ranking/

「一人あたりGDP」と「健康寿命」などのの2つの客観的な数値と、「社会的支援」「選択の自由」「寛容さ」「社会の腐敗度」の4つの質問結果、計6項目から幸福度を分析している。4つの質問はこんな感じです。

②困ったときに頼ることができる人がいるか?という質問
④人生を選択する際の自由度に満足しているのか?という質問
⑤過去1か月間に慈善団体に寄付したことはありますか?という質問
⑥政府・企業内に腐敗が広まっているかどうか?という質問

について1~10で回答してもらったのが元データとなります。この6つの項目は、2013年の調査開始時に経験則的にそして調査データを見て選ばれたもので中のモデルは非公開ですが、「2005年~2023年の主観的な幸福度の国別要因の3/4を説明できる」「説明力の高さを年々確認している」「改良を続けている」とのこと。過去も世界の名だたる大学がサポートしているので、一定の信頼は置けるものだと思います。

ただし、モデル作りにおいては「156カ国の調査全体像としては正しい」ことをゴールと置いているはずで、一国の結果を取り出すとオカシイと感じることは往々にあります。まあ仕方ないですが。

例えば、下のように日本51位という結果を考えてみましょう。

2024年の最新ランキング

https://worldhappiness.report/ed/2024/happiness-of-the-younger-the-older-and-those-in-between/#ranking-of-happiness-2021-2023

日本が上位国に比べて劣っているのは、赤部分、もうグラフでは見えないぐらい数字が小さい「Geneorisity」の項目です。つまり、「過去1か月間に慈善団体に寄付したことはありますか?」という結果が悪いため、ランキングがかなり下がっています。うーん、キフカツ(寄付活動ー造語です。)を勧めている僕ですら、この項目をグローバルの幸福度を測る項目の1つに入れて良いのだろうかと思ってしまったりします。

また「Dystopia(幸福最低値の国)との差異、加えて残差」という、紫の項目で、日本はかなりスコアが悪い。Dystopiaとの差異は、この項目を入れるとモデル全体の過去2005年~2023年の説明力が増すのだと思いますが、謎です。また残差は6つの要因では説明できない要因となるのですが、こちらも謎の項目です。TOP20の国を見ると、コスタリカやリトアニアなどはこの残差項目がすごく高スコアで、他の項目の合計では日本よりかなり劣るものの、全体ではランキング上位に食い込んできていますね。

一方、日本の「1人当たりGDP、周りに頼れる人がいるか?、健康寿命、人生の自由度」の項目においては、日本はTOP10の国と変わらないとなります。なので、個人的には日本のこの数値に悲観的になる必要は”全く無い”と思います。また、そもそも「人と何かを比べる」という価値観こそが、幸福度を落とす権化なので、ランキングなんて見ても仕方ないとも言えますけど。

また、上位にいる北欧の国らと比べての特徴としては、「政府・企業内に腐敗が広まっているか?」との質問で日本は、やや劣後していることも読みとれます。北欧のように国民が数百万人の国と、日本のように1億人の国では、政治を近くに感じられる距離やモニタリングのしやすさは数十倍は違うはずなので、なかなかここは埋まらないのかもしれません。

一方で、地方分権のように政治の単位をより小さくしていくことが国民の幸福度に影響するとか、政治へ向けてより積極的に発言ができるように子供達を教育していくとか(先生たちの話を聞く授業、教科書がある授業、詰込みの教育ではない、アクティブラーニング型)、その辺りは大事なのかと思いました。

<幸福に生きたいなら、この3つに気を付けろ!>

冒頭に書きましたが、私は特に現代社会では「お金、肩書き、見た目」の3つを気を付けることが大事と思っています。特に前の2つの項目は他人と比較しやすい性格があるため、これに振り回されるようになる、これらの優劣で自分の幸福度を決める癖がつくと、まあ人生が不幸になること間違いないと思います。

ただし残念ながら、「お金や肩書きこそが大事だ」というワナは世の中には山ほど仕掛けられています。

例えば、会社など組織をコントロールする管理職側の人は、この2つを道具として徹底的に使います。従業員に「お金や肩書きこそが、人生の価値である」というマインドコントロールをしていくのですが、その方法は意外に簡単です。成果を出した人にボーナスを払ったり、昇進させたり、勲章を与えたりする。そして、それを皆の前で派手に表彰するだけです。そこから生まれるライバル心や嫉妬心は、組織体の維持や、モノやサービスの供給力の強力なパワーになります。これは古代ローマの分割統治にも通じますが、支配される側はライバル関係にあるので結束せず、支配層は組織的を維持することができ、また全体の生産力を高めることもできる。さらに組織体での「情報格差」もしっかり使っていければ、これが強化されます。そのようなアメとムチや、情報コントロールが上手な人が名経営者ともいえる訳です(僕がいた外資金融とかは、金とタイトルでのコントロールは、もう徹底していますね。また海外MBAなどの士官学校では、直接的にも間接的にも、こういう考え方を学ぶことができます)。

学歴という肩書きを気にするのも、幸福度を落とす典型です。40歳や50歳になっても、何十年も前の試験の結果を気にするマインドコントロールに縛られてる人、いますよね。次世代にはそういう人を作ってはならないと思います。

また、高級ブランド品を持って周りに見せびらかすこと、高級車でゴルフ場に乗り付けること、人が羨むタワマンや豪邸に住むこと。そういうライフスタイルこそがカッコいいという提案を、販売元の企業はこれでもかと魅力的に我々にアピールしてきます。ただし、これらの物欲を追いかけたら、もう不幸まっしぐらです。もちろん、他人の目とは一切関係なくそれらが好きなのであれば問題はないのですが、周りの目や宣伝に流されて行動しているならば、もうカラッカラな人生が待っていること間違いないです。

このブログのテーマである「トウシのトビラ」を開ける意味は、個人と社会の幸せのためにあります。宗教、哲学にも通じますが、個人的にも幸福リテラシーはどんどん上げていきたいと思います!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?