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①米ドル建て個人年金保険を8年で解約。運用結果を丸裸にしてみた。

毎年、確定申告の時期には保険商品の書類を整理しますが、気づくと直接・間接含めて、色々な保険に入っているのだと思わされます。私の場合、今、こんな保険にカバーされています。

①持ち家の火災・地震保険(付帯の自転車保険等)
②住宅ローンの団体信用生命保険・付帯の医療保険
③収益不動産の火災保険・地震保険
④クレジットカード付帯の旅行・盗難保険
⑤米ドル建て個人年金保険
⑥自費のガン治療の実費補填の保険

私は車持ってないので、自賠責や自動車保険はありませんね。

一般に保険に入りすぎと言われる日本人。かく言う私も⑤については、「多分いらないだろう」と思いながらも、実証実験も兼ねて保険料を支払ってきましたが、来月でちょうど100ヶ月を迎えるということで、解約の手続きをすることにしました。その総決算をして、中身を丸裸にしてみたいと思います。

こちらカナダのある保険会社の「月1万円支払いの米ドル建て個人年金保険」で、60歳まで払い込みをして、その後、一括か分割払いで払い戻してもらいます。

2015年末からコツコツ99ヶ月払っており、支払った保険料総額は99万9千円。購入当時は月1万円という少額から買えるこのタイプの保険は、日本で唯一だったことを思い出します。

さて、契約時にはその運用リターンがまったく未知数であったこの保険での資産運用。契約の時に知らされていたのは下にある3つのみ。保険証書に書いてあることも極めてシンプルです。

・積⽴利率は、市場金利の動向に応じて毎月更新されます
・積立利率は、最低保証として年1.5%です
・積立利率は、この商品の実質的な利回りではありません

なかなか難しい表現ですね。つまりこの商品は、

毎月1万円をすぐ米ドルに変えて、毎月1.5%以上で頑張って資産運用をしますが、保険会社の儲け分を引いたお客様の最終的な利回りはお示しできないのであしからず

という商品です。こう書いて欲しいですよね。

さて8年後の現在、どのようになっているのか。実は、この計算するのは今回が初めてです。ドキドキ。

一個づつ紐解いてきいきましょう。まず、契約者のWEBページにある情報に2024年2月現在の「積立金の額」が載っています。

・積立金額: 8050.05ドル

これは私の支払った元本金額ではなく、過去からの運用益や手数料も込みの額です。運用残高という表現の方が分かりやすいかもです。

対して元本金額は載っていませんが、毎月1万円なので99ヶ月で間違いなく990,000円です。

・元本金額:99万円

ドルと円では比べられませんので、毎月すぐドルに変換される商品なので過去に遡って為替レートを全て取得して、まずはドルベースに変えていきましょう。

99ヶ月分の月中平均為替スポットレートから毎月1万円がドルに変換された金額の総計は8581.67ドルでした。これが本来は運用に回ったはずの元本です(なおスポットとTTSの差は10銭と仮定しました)。つまり、

・元本金額:8581.67ドル
・積立金額: 8050.05ドル(上の数字)

といういうこと。元本8581.67ドルが、8年後に8050.05ドルにまで減っているということです。残念。。。予想通りですが、まあ仕方ない。これで分析のスタートラインにたちました。

次に私が知りたいのは、この元本の実際の運用益と、保険会社の儲け(手数料)がどの程度であったのです。

ただし、彼らがこの間にどういう資産運用をしたのかは全く分かりませんし開示もされませんが、この99ヶ月の米国10年債券の年利回りは、月次値の単純平均で年率2.33%でしたので、この数値を元に資産運用の効果を見てみましょう。

この2.33%で初月の1万円は99ヶ月間、直近の1万円は1ヶ月間の運用をしたとして、99ヶ月分の現在の残高を積み上げると9492.22ドルとなりました。つまり元本に対して910.55ドルの運用益が出ていたということです。

そして次に計算式を作り、手数料をXとして引き算で求めて、恒等式にまとめるとこうなります(手数料とは保険会社の儲けを意味します)。

式: 「支払い金額 + 運用益 -  手数料 = 運用残高」
額: 「   8581.67      +    910.55   -  1441.67   =    8050.50 」
%: 「   100.0%       +   10.6%     -    16.8%    =    93.8%]

よし、全体像が見えました。あくまで推定ですが、なかなか、エグい手数料ですね。。。そして、これが私が外部から推測できる限りの、この保険商品の8年超の実態となりました

仮に、毎月1万円、手数料の安いアメリカ10年債の投資信託などで運用していたら、結果は1400ドルぐらいは高かっただろうということが言えます。


ただ、分析はもう少し先に進みます。生命保険料は税金のメリットがあります(購入の割引的な効果)ので、それも加味するべきです。そして解約する場合は、解約返戻金として戻ってくるものは減ります。また上記はドルで計算していますが、円に直した場合の結果の分析も一応行いましょう。

これは次回で考えていきたいと思います。


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