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映画「SHELL and JOINT」を観てきました。

実は観てきて1週間が経ってしまって、いまこういうご時世に映画館で映画観てきた、って書くのもなんとなく憚られるのも正直あるし、もうひとつは、私が感想を書いていいものかというのもある。なぜなら、たくさんすてきな文章でレビューやコメントが寄せられているので、そちらのほうがきっとこの映画のことがよく伝わるような気がします。

映画の全部についての公式noteはこちら。
https://note.com/hirabayashiisamu/m/m3574f11093f0

そうはいっても、きちんと自分で自分の言葉で、稚拙ながらも伝わらないかもだけど、書いておきたいと思って。


観た直後、これは映画だな、と。いま邦画の数が多くエンターテインメント性の高いものばかりで。ラブコメとか謎解きとか事件とか余命ものとか、起承転結はっきりわかって、そう、わかりやすいお話が蔓延しているなかで、こういう作品が「映画」とよべるべきもののように思います。
主人公誰某が、ずっと話をすすめるという形ではなく、出てくる人(人だけではいのだけど、人、とあえていわせてもらおう)はたくさんで、場所も時期も季節も全然共通点はない。時系列なんかも関係なくたくさんのいろいろな場面がつながって一つの作品を成している。その場面場面は、なにも起こらないし、すべてが起こってる。この世に生まれてきて、命が尽きるまでのあらゆることがつまっていて、それは、とるに足らないことのようで。でもなんか、愛しくて、ちょっとふざけてて。人のあたまのなかっていうのを映像化したら、こういう感じと似ているのではないかな、と。ちょっとだけ自分の頭の中のぞいたような気もする。いや、みんながみんなそうとは思わないけど。支離滅裂、突拍子もない飛距離でいろいろな思考が巡っていて、でもどこかでうっすらつながっていて、というような。

劇中音楽も、不穏な音なのにまた聴きたいって耳が音を欲しくなってることに、ゾクゾクしていた。不思議な中毒性音楽。平林勇監督の哲学にあてられて、ふとしたときに、映画の中のいろんなシーンが思い出され、頭の中で眺めてまた引き出しにもどしたりして、ひとりでたのしんでいる。

役者目線でみてみると、すべての画面がFIXなので、出てる役者さんはごまかしがきかないな、と。カット割りもほとんどなかったし。とかく、表情のアップを多用している昨今の映像は、わかりやすい。(音楽もそれを煽るように入れられていることが多くて、私は正直そういうあざとさが見える作品はいただけない。)そうではなく、画面の中、ずーっと同じ大きさ同じ画角の中に自分が映っていたら、心の機微が全身に映ってないと、うそっぽくなってしまう。出演された役者さんにとっては、なかなかにハードだったんじゃないかな、と個人的に思っていました。もちろん、目線や頬の動きだけで表現できる感情もあるけれど、そうでなく全身のまとってる空気を映すっていうのは、なかなかハード。撮る方も撮られる方も。(自分の未熟さを露呈するようですが、私にとってはハードに感じます。)

新型コロナウィルス感染拡大の影響は想像をはるかにこえ、首都圏はとかく大変な状況に思います。劇場公開の期間は、なかなか行くのが難しいかもしれませんが、きっと、なんらかのかたちで、安心安全に、以前と同じように映画を見られる状況が来ると思います。いや、来てもらわないと困るし、自分自身の行動が、その状況が来るようにふるまわなければ。(私は、できうるかぎりの防衛策をとって劇場に行ったけど、だからいいってわけでもなくてね。ここが本当にむずかしいところですが。)さきにリンクを紹介させてもらったこの映画の公式noteで、きっと今後の公開に関する情報も出されると思いますので、ぜひぜひ刮目してお待ちいただければと思います。
私も、もう一度観たいし。刮目してお待ちしております。
(安全に映画館で映画を観られるって、ほんとうにかけがえのない日常よね。としみじみ感じる。)

※4/9 追記
4月7日に非常事態宣言が出され、8日から東京中の映画館が閉まることになり、『SHELL and JOINT』を上映中だったシネマート新宿も閉まることになりました。映画館で観られるチャンスは、現在未定ですが、公式noteや公式twitterで今後の情報を待ちましょう。

公式note  映画『SHELL and JOINT』の全部
https://note.com/hirabayashiisamu/m/m3574f11093f0

公式twitter  SHELL and JOINT3.27劇場公開
https://twitter.com/shellandjoint

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